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概要

ASAP2020vol_1

COMPANY INTERVIEW結城氏 「伝える力」というのが、私もこの活動で勉強になった部分で、相手のレベルに合わせて説明することの難しさを実感しました。当初事務局メンバーはコンサルタントから習った手法を、ダイレクトに現場に伝えてしまっていて、現場の人間は今やっている作業の方法が一番いいと思ってやっているので、それを変えられることにものすごく抵抗があるのです。そこをまともに、ここがだめだから、こう変えますという風に進めてしまったので、反発を受けたんだと思います。井野口氏 コンサルタントの佐竹さんから教わった中で「場作り」というのがあるのですが、それに失敗していることに後になって気づきました。自分の説明不足もあって対立的な場作り、言い合いの様な感じになっていました。それらを解消して、お互いのわだかまりが取れ、改善に前向きになることが出来たのが、半年を過ぎてからで、成果が見える化できて、改善の効果をみんなが実感できたことが一番大きな要因だと思います。元々現場は品質の良い製品をつくることに改善活動が障害になると思っていたようなのですが、実は改善を進めることで、品質面でも良い成果があることを理解してくれて、最後には当初言い合いをした人間からも色んな改善の提案をもらえるようになりました。今は現場の考え方や提案内容についても変わってきていると思います。一つ感じているのは、活動で無駄な作業について学んでいる中、空歩行というのがあるのですが、それが日常的に無くなってきました。例えば休憩から戻ってくる時にも、材料を運びながら戻ってきたり、手ぶらで行くようなことは無くなってきている、そういう意識の変化が起こっています。◆活動推進の上で工夫した点を教えてください井野口氏 集まったメンバーがすごく個性的だったので、誰かまとめ役がいないとチームとして成り立たないように感じました。自分はメンバーの中で一番年上でしたが、メンバーのモチベーションを上げるために、各人のいいところをまず探して、好きなものなどを調べて、コミュニケーションをとって、ついでに活動でこんなことをお願いできるかなというように進めて行きました。これまで仕事でしか関係が無かったのが、今回のプロジェクトを通じて若手リーダーの中に絆のようなものが出来てきたように思います。当初はばらばらだったメンバーが今は忘年会でもやろうというように意気投合する関係になってきています。現場で人の作業を見ていて、手待ちが多いなどの専門用語も自然と出るようになってきて、人の作業への関心も以前より高くなっていると感じます。◆1年目の活動結果についてはどのようにお考えですか丹羽氏 1年の活動を通じて格好はだんだんつくようになってきましたが、その数字が身になっているのかということと、本当に結果として出るのかなということには半信半疑で、正直まあ格好だけでもしょうがないかなと思っていました。ところがA3ラインという今回のプロジェクトのターゲットラインの成績は、トップクラスの良い結果でした。もちろん生産量増減の影響は大きいのですが、それを抜きにした労働生産性においても、高い位置にあって業績に反映できている。これは石岡工場以外の工場も同じ状況で、ターゲットラインは全て業績改善出来ているし、ターゲットラインだけでなく工場トータルとして見ても良い結果となっていました。この手法がどんどん広がってくれればと思っていますが、そんなに簡単ではないこともわかっているので、継続していくことが大事と考えています。そのためこれは最初から案を出していたのですが、今回の活動の1期生は全員新たに作り出した生産管理チームに入れることにしました。彼らにはターゲットラインを自分達でテーマ付けしてもらい、この活動を生産部門の習慣の一つ、仕事にしてしまおうと考えていて、2期生もそうなります。トップだけは幹部を置いていますが、チームのメンバーには、今までやってきた目線と活動を活かしながら、自分達が得た気付きをどんどんテーブルに持ち寄せて自由に活動を進めてもらい、その成果が出たところはどんどん評価していく。そういう流れを活動1年目が終了した時点で作って、生産管理チームを組織に織り込むということにしました。正直これを1年目でやるか2年目でやるかという議論はありましたが、事業所長とも相談して、せっかく盛り上がっている時に一気に組織化しようという判断になりました。現在すでにその取組みがスタートしていますが、1年目の活動報告会の内容を見ていて、いけるかなという気持ちになりました。結城氏 1年目の活動報告会でホールディングスの代表が最後に石岡に関しては、活人化でこれだけ数字が上がるんですねとコメントしてくれました。これが事業所の代表としては一番嬉しかったことです。報告会の最後にコンサルタントの佐竹さんとも話しをしましたが、会社にとって活人化の手法を学ぶというのは企業の財産として7