ブックタイトルASAP2020vol_2
- ページ
- 5/20
このページは ASAP2020vol_2 の電子ブックに掲載されている5ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
このページは ASAP2020vol_2 の電子ブックに掲載されている5ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
ASAP2020vol_2
れたこともないような様々なご要請に応える為のコストが嵩んで、利益を出しづらい体質になって来ていたのだと思います。幸い、それまでの好業績と堅実な経営姿勢のおかげで内部留保は十分に積み上がっていた為、慌ててどうにかしないと会社が傾いてしまうという様な状態には陥らずに済んでいましたが、社員百数十名が一年間一生懸命働いて、会社としてはいくらも儲けられないという、当社ではこれまでに経験したことのないような、憂慮すべき事態となってしまいました。正直、現状もこの状態から抜けきったとはいえない状況にあります。◆コンサルティング導入時の会社の状況、テクノ経営にご依頼いただいたポイントについてお聞かせください佐藤氏 テクノ経営さんのコンサルティングを導入したのは2017年5月からで、当社の年度でいうと2016 年度末からという事になります。先ほど申し上げた通り、2010年前後の当社は15%以上の高い営業利益率を上げていたのですが、2012 年から始まった売上の低下と共に利益も減少を続け、ついに創業以来2度目の赤字決算となってしまったのがこの2016年度でした。 先ほど、多額の設備投資をして新規の技術開発をしたと申し上げましたが、新しい技術が安定し、利益を生むようになるまでには相応の時間が掛かります。この頃、その新規技術を活用した大口の製品を何点か受注していたのですが、いずれも生産が安定せず、その日作ってみないと何個作れるか分からない、というような状態が続いていました。本当は、安定生産を妨げる要因を探し出して分析し、その原因を取り除くという動きをしなければいけないのですが、そのやり方も良くわからない。その一方で、お客様からはどんどん注文が入って来るため、何とかして供給責任は果たさなければならない。こうなるともう力づくです。とにかくひたすら時間をかけ、長時間労働で何とか注文数をこなすという対応しかないわけです。当然コストもかかるし、社員の肉体的な負荷も増えるので不良も発生する。その対応でまた忙しくなるという悪循環で、新規事業部門は長時間労働が常態化し、全員が完全に疲弊しきった状態になってしまっていました。会社の未来を担うはずの新規事業部門のメンバーに疲れ切った顔をさせてしまっては、社員全体のモチベーションも上がりません。非常にまずい状態だと思いました。 またそれ以外の製品でも、新しくお取引を始めたお客様の要求への対応に苦しめられていました。 それ迄の長い間、当社の売り上げの殆どを占めていたS工業様とは強力なパートナーシップが出来上がっていました。お互いに我儘を言い合いながら阿吽の呼吸で最適な着地点を見出すといった、今考えると少し特殊な関係性の中で仕事が回っていたのだと思います。ちょっといい加減みたいですが、本当に必要な部分だけに経営資源を集中する事が出来るので、これはこれで非常に効率のいいやり方ではありました。1990 年代以降の長い間、ほぼS工業様1社を相手にお仕事をしていたため、当社ではそれが当たり前と思っていたのですが、新しくお取引を始めるお客様はそういうわけにはいきませんでした。それなりの規模のお客様は、基本的には全て是々非々で動くため、「ちょっとここはおまけして大目に見てよ」、みたいな話が全く通用しない。何をするにしてもエビデンスを取るとか、100%図面通りじゃないと認めない、みたいなことを言われ、重箱の隅を突くような管理を求められるわけです。「こんなことが本当に必要なの?」と思わないでもなかったですが、とにかくダメですの一点張りでは対応するしかない。当然、対応コストが余分にかかりますが、「それはお宅の問題です、当社は見積通りにしか払いません」、と言われてしまい、取りつく島もありません。当社では、今までと同等程度の管理を前提で見積を出していますから、それだと採算が合わなくなって来るんですね。余程「こんな仕事やってられるか!」と放り出してやろうかと思いましたが、それをしてしまうと狭い業界ですから噂が広がって他のお客様からも相手にされなくなってしまうので、我慢しながら対応するしかない。そんなことも利益を圧迫する要因になりました。 社員みんなが、慣れない顧客要求に対応しながら一光工業株式会社4