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概要

ASAPplus2020

ー地域経済の安定化を目指した社会的事業としてのスタート加納氏 昭和40年代から全国的にブロイラー事業が盛んになって来たことを背景として、住田町でも昭和46年に当時の住田町農協と地元農家5名でブロイラー事業を始めることになりました。当社創業当時、住田町の農家は出稼ぎ労働で冬場の収入を得る家庭が大半でした。 春から秋までは農業に従事し、冬は出稼ぎに行くという形でしたが、家長の不在で留守を預かる女性達が苦労し、また子供たちの健全な成長にも支障を来たしていたようです。そのような経緯も踏まえてこの地域で安定した雇用を創出し、社会的課題の解決を目指すため、施設型農業としてのブロイラー事業への参入が成されたと聞いています。また当初はきゅうりや苺などのハウス栽培事業も同時に行われており、このスタイルは「住田型農業」と呼ばれ全国的な話題にもなりましたが、結果的に現在はブロイラー事業が残る形となりました。創業時は住田ブロイラー株式会社という社名で創業したのですが、平成6年には現在の社名である住田フーズ株式会社に変更しました。平成9年には初めて直営農場を建設。翌平成10年には銘柄鶏「みちのく清流味わいどり」の生産・販売を開始しました。経営上の大きなターニングポイントは、平成14年2月に全農チキンフーズ株式会社の子会社となったことです。これによりJA全農グループの一員として新たな出発をする事となり、以降販売は全て親会社の全農チキンフーズ株式会社が担当し、当社は製造に注力する事業形態となりました。住田町ではこれまで、町おこしの一環として「鶏ハラミ」を地産グルメとして売り出したり、町内飲食店挙げての唐揚げのイベントを行ったりしていて、それらの活動にも当社は中核として関って来ました。当地は高齢化、過疎化が進む人口5,000人程の小さな町ですが、当社の事業には近隣の協力会社も含めて1,000人ほどの人々が関っていて、その人達の生活基盤を支えることも当社の重要な役割だと考えています。当社は来年創業50周年を迎えますが、この地域のためにもその先の100年も続く、永続的な企業を目指した経営を進めて行きたいと考えています。ーコロナ禍の「巣ごもり需要」でチキンへの評価が向上加納氏 ブロイラー業界では本年度当初の予測として、過剰生産で相場が下がり、大変厳しい状況に陥るのではないかと言われていました。ところが今回のコロナ禍で行政から国民に対し「不要不急」の外出への自粛が要請され、飲食店の営業制限なども行われたことから、いわゆる「巣ごもり需要」が発生し、内食での家庭内調理が増えたことで、量販店などでは例年以上にチキンに対する需要が発生しました。一方、外食需要は前述のような要因で大幅に減少したのですが、そのマイナス分を含めてもトータルでは予想を上回る市況となっています。鶏肉相場的にも昨年よりも大幅に高く推移しており、ブロイラー業界としては、改めて社会に於ける当業界の存在意義を確信しているところです。コロナ禍で失業したり、収入が減少している方もおられて、今後の成り行きも不透明な状況の中、安価で高たんぱく・低カロリーの食材としてのチキンが改めて評価され、購入量が増加していると考えています。地域を担う存在として、100年企業を目指した持続可能な経営を推進住田フーズ株式会社CASE03製造部 部長兼 工場長佐々木 新一氏代表取締役社長加納 雄三氏管理部 部長吉田 順氏9