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概要

ASAPplus2020

ニューノーマル時代を企業変革力で生き抜くFeature 01社 名:旭精機工業株式会社代表者:取締役社長 山口 央資本金:41億円/設 立:1953年8月11日所在地:愛知県尾張旭市旭前町新田洞5050-1ー5年間の活動成果として多能工化を実現松原氏 2015年からスタートした活動は今年で5年、3期目。この5年間の蓄積というのはやはりとても大きいと感じています。活動では多能工化を目指した取組みを進めていますが、以前はこの敷地内にある4工場それぞれのセクショナリズムが強く、自分の工場のことだけをしておけば良いという雰囲気もありましたが、今では多能工化が進んで、どこの工場に対してもかなり互換性が機能するようになりました。リーマンショックの頃は、生産、出荷、売上が減少していても、人に仕事が付いている(属人化)ため、残業せざるを得ない状況がありました。しかし、今回のコロナ禍では6月からの3ヶ月間、一切残業をしていません。これは多能工化の成果だと思います。この5年間で多能工化はかなり推進できたと思いますが、若い人たちの底上げもまだまだ必要であり、私が理想とするゴールイメージに対してはまだ 7割程度の状態と考えています。 また活動当初の目標としては、ミドル層のマネジメント力強化の取組みも重要なテーマとして掲げていましたが、この部分についての進捗はまだ50%程度と考えています。今回コロナ禍の状況で、私は現場に対して「残業をゼロに」等のかなり厳しい指示を出しました。本来は「現場経営」という視点で、ミドルマネジメント層からそういう提案を上げて来て欲しかったのですが、まだ現状ではそこまでに至っていません。今後は「考動」から「行動」を意識して、ミドルマネジメント層の中心である課長職が、利益を出すために自ら考え、企画し、行動するという部分をもっと出して欲しいと思っています。ーコロナ禍での中長期の成長戦略松原氏 今後の成長実現における重要なテーマとして、2017年以降の活動では開発部門における改革の取組みに注力して来たのですが、この改革はかなり困難であることを実感しています。開発の仕事は人がかかわることが多く、管理職のコミュニケーション能力によって大きな差が出ます。そして、仕事の内容はどんどん変化し、増えているのに、やり方が変わっていないから時間を多く費やしているため、違う方向に持っていく必要があると考えています。今活動で新たな取組みを進める中、ようやく最前線で仕事をしている作業者と管理職の間でコミュニケーションがとれるようになってきました。これまでは納期について、最初に大日程を立てるだけで時間が経過して、納期が近づくと「危ないぞ、納期守れるのか」ということを繰り返し、その都度相当な労力を費やしても、結局は納期遅れになってしまうという状況が続いていました。新たな取組みではその状況をゼロにするため、予定を1日単位で細分化して、計画と日報をセットで確認していくことで、残業時間が把握でき、納期に向けた管理もきっちり行えるようになりつつあります。この取組みを始めてもう少しで1ヶ月になるので、そこで成果の確認をしたいと思っています。 また長期的なビジョンとしては、現在「ALPHANOMOUS(アルファノマス)」というビジョンを掲げて、2050年の生産現場で人が介在する作業をどこまで軽減できるかという取組みを全社で推進しています。「I oT やA I を真に活用することで、機械自らに調節、調律する機能を持たせて、作業者が離れた場所にいながらも生産現場に関わることを可能にする」という構想を持つこのビジョンは、コロナ禍以前に策定したものですが、アフターコロナ、そしてその先の未来の製造業において求められる要素が含まれたものだと考えています。 改善活動で中期的なテーマに取組むと共に、長期ビジョンを念頭においた経営を推進することで、今後の先行きが不透明な環境においても、成長への軌道を確かなものにしていきたいと思います。COMPANY DATA精密プレス金属加工部品担当コンサルタント:ブレーン事業部 橋間 伸介12