1920年の創業以来、送風機の専門メーカーとして時代の要求に適合した最新・最適な送風機を製作・販売するミツヤ送風機では、設計部門である技術部において、全員のナレッジを蓄積し、設計高度化を実現させていくため、設計標準化の推進が課題となっていました。この時期に人材問題と新システム導入が要因で発生していた危機的状況に際して、当時の部門トップがセミナーに参加されたことが活動導入のきっかけとなりました。

【背景と課題】
「負のスパイラル」脱却への道標となったセミナーでの学び

　数年前、設計のベースがないところで、見切り発車的に行ってしまった生産管理の基幹システム導入が、当時の設計部門における様々な要因と重なり、結果的に最悪の状況を生み出していました。
　具体的には設計部門全体が、システムの導入によって発生した煩雑な入力業務に日々追われる中、人材面では少数のベテラン社員と多数の中途を含む若手社員という2極化が進み、中間層が薄いため、技術伝承も上手く行っていませんでした。
　送風機の設計の基本はある程度決まっていて、お客様からの要求に対してある部分を付加したり、変更したりという作業が主です。それが経験や知識に基づいて積み上げていく設計になっていれば良いのですが、当時の技術部はベテラン社員が少ない状態で、経験の浅い若手社員は、類似製品と思われる図面を編集して出図せざるを得ない状況となっていました。
　設計者自身が良く理解した上で図面を作成していないため、ある部分は直したが、こちらは直し忘れていたというような図面が工場に行き、現場でアッセンブリ出来ないため、部分修正が必要となり、設計者が工場に出向くということが頻繁に発生し、いくら時間があっても足りないような状況になっていました。そのような状況では設計担当者自身の成長も望めるはずもなく、まさしく「負のスパイラル」に陥っていて、ゆっくりではなく、急激にこのような状況となったため、ある種のパニック状態が技術部内に発生していました。
　いったいどうしたらこの状況から抜けることが出来るのか？その脱却に向けた検討を進める中、工場に届く多くのセミナー案内の内、「最強の設計部門が利益を作る」というテクノ経営総合研究所のセミナータイトルが目に留まり、打開策のヒントを求めて、技術部のメンバーと共に参加しました。設計部門のコンサルティングというのはあまり聞いたことがなく、自分自身も今まで設計は、外部から教えてもらうというものではないと考えていたところがありました。ところがセミナーで聞いた事例の改革前の姿がまさしく当時の状況で、当社の悩みと一致していたのです。セミナーでこのように、事例として取上げられるということは、自分達と同じような悩みを持っている会社は、他にもたくさんあるように感じられ、まだまだ何とか立ち直る術はあるのかなと希望を持つことができました。

【選定と導入】
工場診断を元にしたステップごとの活動提案が導入の決め手に

　セミナー受講を終えて、コンサルティング導入の検討を進めることを決断し、すぐに工場診断を受けることになりました。また当社の社長も当時の技術部門の状況には、非常に危機感を持たれており、何とか立て直さなければならないという意識は共通していため、活動導入の検討を進める上で、ちょうど良いタイミングだったと思います。
　工場診断の結果は、基本的には予想していた通りでしたが、その改善に向けた取組みを一気に進めるのではなく、ステップを踏んで段階的に進めて行くという提案に大変共感を覚えて、テクノ経営によるコンサルティングの導入を決定し、2018年7月から活動をスタートしました。
　設計部門の変革は前例が少なく、難度の高い取組であり、当初は「負のスパイラルからの脱却」という危機的状況が背景となっていましたが、現在3年目の活動に取組む社員の意識はもうそこにはありません。標準化という指標を確立し、技術が中心となって会社を成長させていくこと。本来の目指すべき姿、業界でトップのエンジニアリング集団を確立すること。よりポジティブな意識でプロジェクトのゴールとして設定されたテーマの実現が、次の100年を目指した当社の未来の種となると確信しています。

テクノ経営総合研究所では今後も経営革新セミナー、1日工場診断を通じて、企業変革のきっかけをつくるための活動を推進してまいります。

(公開日：2020年11月17日)