春の入社や異動のシーズンが終わって2か月。新しい環境にはなじめただろうか。昔からこの季節には若者がかかる五月病という病がある。社会人生活のスタートがコロナと重なってしまった昨年と今年。特にゴールデンウィーク明けは注意が必要だったのだが。
例年より20日も早く梅雨入りした今年。どんよりとした雨模様の日が続いている。
五月病の原因は、描いていた期待と現実とのギャップ。コロナ禍によりこんなはずじゃなかったという失望から会社を辞める若者が最近増えている。厚生労働省の調査では高卒の約4割、大卒では約3割の若者が入社3年以内に会社を去るという。3人に1人が離職する現実、これは企業にとって大きな痛手だ。
早期離職の原因、その一つが職場の人間関係といわれる。コロナ禍の日常では入社歓迎会や飲み会なども自粛されるからコミュニケーションも不足しがちだ。コロナウイルスの影響を受け、若手社員もテレワークを余儀なくされている。入社後すぐに在宅勤務を命じられた新入社員も多いのではないか。人間関係やスキル不足の対応をサポートするために、企業はどんなことにとりくめばよいのだろうか。
「これってパワハラなんじゃないか」と上司の方でも若手社員との対応に気を使っているかもしれない。そんな上司ともぎくしゃくして上手く人間関係を築けず悩んでいる人が多い。何でもかんでもハラスメントでは上司もやりにくい。なんで上司だけが悪者にされるのか。自分が若者だったころ、手取り足取り教えてくれる職場ではなかった。上司から怒鳴られ、失敗しながら仕事を身につけてきた。ところが今の若者は少し怒るとやる気をなくす。
最近、若者に見られる適応障害が取り上げられている。適応障害とは、ある特定の状況や出来事が耐えきれない苦痛に感じられるというもの。それが仕事に向かう気分や行動に症状となり現れるという。ストレスという存在は本人にしか理解できない感覚だ。
心身の不調やモチベーション低下に陥らず、「この会社でがんばっていこう」と思えるようになるためには、どんなケアが必要なのか。周りが気づいてあげることも必要。人と人が関わり、なんでも気軽に相談できる職場でありたい。そうした関わりの中で、「自分はこの会社にいたい」という感覚が育まれてくると思う。まだ経験の少ない若手社員にいきなり高いハードルを設定するよりは、少しがんばれば到達できる目標を与えて小さな成功体験をさせる。まず自信を持ってやらせた仕事を上司として承認すること。たとえオンラインであっても同じチームの一員だと認識してもらうことが必要だと思う。