コラム/海外レポート

2021.10.05

コロナ禍に向き合う経営者の課題 『コストダウン』と言う前に “3つの改革ポイント”

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執筆者:

鳥取 一博

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コロナ禍に翻弄されたこの2年、私たちを取り巻く社会の仕組みは大きく変化した。仕事ではテレワークやテレビ会議が普通となり、普段の生活でも、マスク着用や手指消毒の習慣が日常の風景として根付くようになった。最近ではワクチン接種の進展により感染拡大も収束の傾向ではあるが、気を緩めることなく今後の推移を見守りたい。
 コロナ禍のような不測の事態に対処するため、今取り組むべき「3つの改革ポイント」について、次の3点であると私は考えている。

ポイント1 余分な仕事をさせていないか?
ポイント2 現場の手は正しく動いているか?
ポイント3 社内人材を徹底活用しているか?

 ポイント1 の重要性は、余分な仕事の累積がコスト高の要因となるからである。日常業務の見直しが必要、そんな仕事の現場は間接業務で多く見受けられる。たとえば在宅勤務(リモートワーク)と会社勤務(オフィスワーク)を比較して業務効率はどうなったか?
人による仕事の違いや属人化、標準化できない例外処理、ミスが多い業務など、間接業務における業務検証を通じて、隠れていた「ムダ」や「問題」を顕在化し、どうやって対応するか?
コロナ禍で見えてきた間接部門の課題がある。たとえば在宅勤務における業務効率をどう検証するか、テレワークにおける品質をいかに高められるか。 間接部門における業務の検証、それは空中戦ではダメ!実際に業務フローを帳票と共に書き出して分析する作業が必要だと思う。
 問題を 1.整理する 2.見える化 3.やるべきことを明確にする。それにより、業務の優先度を検討して要らない仕事を増やさないことが大切。それが潜在コストの削減につながる。

ポイント2は直接部門に関わるもので、生産効率の低下によるロス発生を防止することだ。
そのためには製造現場の手を停めないこと、生産性を人員配置、作業状況から見ながら、現場作業の価値作業率を向上させる改善活動の取り組みが必要とされる。
 テクノ経営の一日工場診断でも項目の一つとして実施している。生産性の改善余地を測定する手法として、ワークサンプリングは効果的だ。マイペース生産に陥っていないか、手待ちや空歩行などのムダ作業に対し、利益につながる価値作業の割合がどれくらいあるかが浮き彫りになる。
現場の情報をいつでも確認できる状態をつくることも重要。「予実管理ボード」などを設置するとよいだろう。上長が計画を記入、実績は必ず作業者が記入するルールで、必ず差異の原因を確認することが必要である。これは上長に課せられた大切な義務である。
生産性日報からも情報の見える化をはじめることができる。その際には必ず、現場で必要な指標(ものさし)を用意すること。そして、それは日々の実績をダイレクトに反映したものでなければならない。「精度/結果」も大切だが、それではなく「変化の原因/理由」なぜそうなったのかというプロセス、背後にある課題の発見が一歩高いところを目指す改善につながる。

 ポイント3の社内人材の活用について、人手が足りないという固定観念を抱いていないだろうか。確かに日本の労働者数は減少していく一方、すでに2005年の段階で65歳以上の人口が20%を越えている。また、労働生産性の国際比較でも、OECD加盟国の時間当り労働生産性で日本は大きく引き離されている現実がある。
これからの企業戦略において、社内の人材育成や潜在力の発掘で少数精鋭の現場づくりを進めることは極めて重要である。改革のための3つのポイントが目指すこと、それは「活人化」「少人化」「省力化」の実現である。そして、この活人化こそが社内人材の徹底活用に他ならない。少ない人員でムダな力を省く少人化と省力化は活人化を支える基礎だと言える。
少人化の目的は業務量を増やす労働強化ではない。むしろムダな業務や生産性の向上により、職場環境に余力を生み出すことができる。それにより、業務の標準化、多能工化の推進などの活人化に結びつけることできる。ムダ・ロスに気づき排除すること、現場改善により、余力を生み出しコスト削減と生産性の更なる向上をはかることが企業体質強化につながるのである。

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