コラム/海外レポート

2021.12.06

設計開発プロセス改革で、品質向上・コストダウンを!

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執筆者:

南野 嘉也

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スピード感のある仕事を阻害する設計開発現場の実態

ビジネスの現場では「スピード感を持った仕事」というフレーズが頻繁に使われる。
私がよくコンサルティングさせていただく設計開発部門の仕事においても、重要視されるポイントである。
スピード感を持った仕事とは、本来、完璧な成果をスピーディーに創出することである。
設計開発部門のコンサルティングをしていて、しばしば納期優先で一刻も早い試作品の完成を目指すあまり、不完全な設計フローで仕事をスタートさせてしまった結果、設計ミスが原因で試作を繰りかえし、なかなか量産に移れないという事態を目の当たりにする。
ある事例では設計開発業務時間調査を行ったところ、ムダ時間が18%あり、そのうちの実に10%が図面訂正であった。
こうなってしまうとスピード感のある仕事など望むべくもない。
設計開発の仕事のスピードアップは、あるべき設計フローの実行と丸投げや属人化を改善することにかかっている。

品質・コストの80%は開発設計段階で決まる

設計開発技術者の先入観に「新規の設計は何があるかわからないので、やってみないとわからない。先が読めなくて当たり前」というものがある。
設計トラブルを減らし、設計スピードを上げるためには、この考えを一度ただす必要がある。
その改善策が「事前問題解決型の仕事」である。
設計開発業務における不測の事態は予測しない限り管理できない。不測の事態を予測していかに少なくしていくかがポイントであり、これが設計開発技術者の腕のみせどころである。私は設計開発の現場で起こる不測の事態を「開発不確定性」と言っているが、それが高くなると当然、品質不良やトラブルが多発し、コストと多大な後始末業務が増える。そしてそれがまた業務時間を圧迫し、設計開発業務が不完全になり負の連鎖に陥るのである。
ここから抜け出すには、こうした事象を業務管理上の問題ととらえ、業務の進め方、プロセスの改善が必要である。これにより「情報品質の悪さ」を解消し、忙しいと言い訳しない現場へと改革していくのである。
このように考えると、品質の向上とコストダウンの大きなポイントは、設計開発プロセスにあるといえる。設計開発プロセスの改革により、設計トラブルを減らし、業務スピードを上げて品質の向上とコストダウンにつなげていきたいところである。

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