コラム/海外レポート

2023.06.27

タイ人の面子(メンツ)

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タイに駐在する際、「周囲に人がいる状況でタイ人に注意をしてはいけない」と言われてきた方は多いのではないでしょうか。日本人は人前で叱るけれど、これはタイで絶対にやっていけないことの一つである。それはどういうことなのか、という話である。タイ歴18年の大先輩から以前に以下の本を紹介された。

『タイ人と働く―ヒエラルキー的社会と気配りの世界』ヘンリー ホームズ (著), スチャーダー タントンタウィー (著), Henry Holmes (原名)では、タイ人の行動原理について、「タイ人は、人間関係を維持するために、自分の行動や言葉が相手の感情を損なわないよう大変苦心を払う。タイ人は、相手との摩擦、対決、対立を避けるためには、いかなる努力も惜しまないのである」と記している。さらに上記の訳者である末廣氏は、「タイは間違いなく面子の社会であると指摘し、タイ人は相手の面子をいかに傷つけないで、そして自分の面子をいかに守っていくかに、あるいは失った面子をいかにさりげなく回復させ、失った自分の名誉をいかに挽回するかに、ありとあらゆる努力を傾けるのである」と記している。

このように、タイ人を理解するには、タイ人の面子意識を理解することは近道と言えよう。
日本人とタイ人との円滑なコミュニケーションを図るには、双方が面子をどのように捉えているかを互いに正しく理解することは非常に重要であろう。

何事に対してもタイ人はすぐに「dai dai(ダイได้(dai) できるできる」と言うし、謝らないし、すぐに言い訳を言う、とタイ人が過ちや失敗を犯したときの態度に我々日本人は感情を逆なでされることは多いと思うが、それも彼らには彼らなりの事情があるのである。

その点を認識しつつも、時代も社会も価値観も変化していくもので、生まれ育った国の環境・文化・社会に左右される面があるとはいえ、最終的には人によってその価値観は違うというのが正直な所であるとも最近では思う。