コラム/海外レポート

2024.11.11

経営ビジョンを実現させる「方針展開」と「目標管理」

関連タグ:
  • 現場改革・生産性向上
  • マネジメント

執筆者:

手島 静雄

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 経営ビジョンがあるかどうかは、企業の成長に大きな影響を与えます。実際に、有名企業の多くは明確な経営ビジョンを掲げています。中小企業であっても、経営ビジョンはなくてはならないと私は考えています。
 ビジョン実現に向けて会社方針が必要になるわけですが、我々が良く耳にする「方針」には2つ、方針と名のつくものがあります。それは、会社が「自分たちは何を目指しているか」、「どこに向かうか」といった企業や事業・サービスの方向性を示す「会社方針」と、「品質」「環境」などに対する要求事項への適合とマネジメントシステムの有効性に対する継続的改善の決意を述べた「マネジメント方針」です。
 ここでは、会社の経営に大きな影響を与える「会社方針」についてお話しさせていただきます。会社方針は、経営者がただ旗印として掲げているだけでは、それは単なるスローガンに過ぎず、「目指すべきところ」に到達することはできません。また、全ての従業員が会社方針に向かって一斉に行動を起こしたらどうなるでしょうか。当然、それぞれの行動がばらばらになって向かうべき方向を見失ってしまい、収拾がつかないことになるでしょう。そこで必要となる考え方が、「方針展開」です。規模の大きな企業では会社方針を受けて、部門方針、さらに下位には課方針があります。課方針からは現場の方々に具体的な行動目標が指示され、課の目標を達成するために所属の従業員それぞれが具体的な行動をしています。
 このように大きな枠組みで方針を設定して、下位に落とし込んでいくことをブレイクダウンといい、そこで定めた目標を実現させるために、実務者レベルに具体的な行動まで設定していくことを「方針展開に基づく行動計画」と言います。
 では、どのように会社方針をブレイクダウンし、方針展開をして行動に落とし込んでいけばよいのでしょうか。ここで必要となってくる考え方が、「KGI」と「KPI」です。「KGI」とはKey Goal Indicatorを省略したもので、日本語では「重要目標達成指標」と訳されます。一方、「KPI」はKey Performance Indicatorsの略で、日本語に翻訳すると「重要業績評価指標」となります。言葉が難しく理解しにくいかと思いますが、KPIは、自分たちの目指す目標達成に向けたプロセスにおける達成度を把握し評価するための「中間目標」として考えると分かりやすいと思います。この場合は、「自分たちの目指す目標」がKGIになります。KPIを適切に設定することで、行動する内容が具体的になり、職場内の方向性が統一されます。KPIを設定しておくことは、自分たちの最終目標達成のための重要な要素となります。
 KGIの目標を達成させるための適切なKPIの設定の仕方をお伝えしますので、ご自身の職場で是非試してみてください。どの職場にも達成すべき目標が設定されていると思います。これは品質、出来高、生産性などの目標値のことです。この目標値が自分の職場におけるKGIになります。この目標を達成させるために何をすべきか考えるわけですが、この方策が目標達成のための重点施策ということになります。重点施策が確実に実施できたことを想定して、その実施した内容を評価することを考えた場合に、それがKPI、すなわち「中間目標」となるわけです。例えば、品質不良流出防止のために3種類の検査手順書を作成して、作業者に教育することで検査手順が統一されて流出不良が0件になった場合、KGI(重要目標達成指標)は「流出不良件数」であり、結果は達成です。KPI(重要業績評価指標)としては作業手順書作成・教育件数(3件中3件)や教育後の理解度テストの点数などが対象になります。いずれの指標も不良を流出させないという最終目標のための中間目標になっていることが分かりますね。
 経営ビジョンを実現させる方針展開とKPI、KGIを活用した目標管理を是非実践してみてください。

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