コラム/海外レポート

2024.11.12

日本とタイの改善活動の違いについて(2)

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執筆者:

久保 憲二

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 1年以上前になりますが、タイでの改善活動と日本での改善活動の違いについて書かせていただきました。安全・5S・モラル・原理原則等々の基礎的な活動が出来ておらずにコストや品質の改善をしてもタイでは元に戻ってしまうことが多いことと、特にその中で重要なのが、人と時間のコントロールだと書かせていただきました。

1)日本の常識とタイの常識を融合する
2)部下の時間のコントロールができるようになる

 この二つがきちんと出来るようになるまで活動を継続する必要があり、日本よりも少々時間的には長く掛かってしまうことがあります。それは国民性や慣習の違いと言うのでしょうか、日本人の常識通りには行かないのです。

 さて今回は改善の2つの種類についてお話しさせていただこうと思います。私がタイに駐在して既に10年が経ちました。あっという間でした。日本でも多くの会社でご支援をさせていただいておりましたが、日本ではほとんど意識したことなかった項目があります。それは「現場管理力」の強化です。図の右側の技術的な改善手法(「改善技術力」)をお教えし、皆さんと一緒に生産性や品質を向上する活動の支援をさせていただいておりました。 

 しかし、タイではそれだけでは通用しなかったのです。今月のセミナーの題材にもした「日本の改善チームの出張対応では何故うまくいかないのか」を、身を持って体感したのです。
「現場管理力」とは何かをもう少しお話しさせてください。

 ・月曜朝の立ち上げが遅い
 ・休憩時間前の機械停止が早い、休憩時間後に戻ってくるのが遅い
 ・シフト間で機械が長く止まってしまう
 ・トイレに行ってなかなか戻ってこない
 ・スマートフォンを現場で触っている
 ・手を止めて会話している(たぶん私語)
 ・・・・・・・

 タイ人マネージャーはこれらのマネジメント、コントロールがとても苦手なのです。初めて来た駐在員の皆さんは1年目にこのことを目の当たりにすることでしょう。
 仏教徒が大多数を占めるタイでは、目上の人を敬うことが当たり前で、年上の部下を厳しく指導することはあまりしたくないし、人前で争いごとを好まない国民性です。
 
 限られた時間で活躍されている駐在員の皆さんは、慣れること、学ぶこと等で、あっという間に月日が過ぎてしまうかもしれません。「現場管理力」を強くするためにはどうしたら良いか、是非とも我々コンサルタントに相談していただければと思います。

 海外では日本と同じ考え方では成功しない場合も多いですが、必ず成功すると信じ改革、改善を進めていきましょう。私たちもそのお手伝いを微力ながら続けていきたいと考えています。

 
■筆者の前回のコラムはこちら
日本とタイの改善活動の違いについて

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