コラム/海外レポート

2024.12.02

コンサルタントになって良かったと思う瞬間

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  • 間接部門改革

執筆者:

鳥取 一博

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 現在、コンサルティング活動に入って6年目となる企業様があります。直近で急に人員構成が変わり、中間層が空白で、ベテランである50代以上の方と20代の方といった体制になりました。そこで、まずは若手である20代の方を育成していこうという方針で一緒に活動を進めています。若手の方々はスポンジのように、こちらが伝えたことをどんどん吸収してくれるので、指導をしていて楽しく、さまざまな話をしています。

 最近のトピックスで、ベテランの方たちと比較して当然経験値は少なく、まだまだ知らないことがたくさんあり、暗黙知という形で隠れてしまっているという話がありました。属人化といいますか、ベテランの方しかわからない。具体的に教えてもらおうとしても「慣れてくればわかるようになるよ」ということで、ベテランの方が対応してしまい、実際に経験することができないため、若手の方は一つも覚えられない。そういった中で、暗黙知をなんとか標準化しなければならない、また同時に会社から多能工化を進めるという方針が打ち出されました。若手の皆さんは、多能工化の意味や暗黙知に関して勉強し、「何件ありました、私は知らないことです」と、指導会の中で現状の暗黙知を拾い上げてくれています。それに対して、どのように対応していくかというと、手順書や標準書を作成する形で進めています。

 若手の皆さんが一生懸命に取り組んでおられ、見ていて非常に微笑ましいのですが、その中で「ちょっと待って」と指導する内容がありました。詳しく確認すると、「トラブルの対応について手順書を作っている」ということでした。モノを作る作業や準備に関する手順書、作業書は必要かもしれませんが、トラブルの対応になぜ手順書を作るのか、本人たちに聞いてみると「いや、トラブルが発生した時に、私はまだ実際に対応したことがないのでわからない。だから手順書が必要なんです」といった回答が返ってきました。それを暗黙知として捉えて作成しているかもしれませんが、そもそも、なぜトラブルが発生するのか。コンサルタントであれば当たり前の考え方ですが、その方とはこういった指導をするのが初めてでした。

 「そもそも、なんでトラブルがあるの?そっちは考えた?」と聞いたところ、まさしく今、目からウロコが落ちたというぐらい、「はっ!」という顔をしました。先輩のところへいき、そのトラブルが発生した時にはまずどこに連絡をするとか、システムからどこにどう入って対応するのかなど、一生懸命に質問をして書き出していたのですが、私の指摘に対して、「そうですよね、トラブルが起こることを前提にしてはダメですよね」と、自分の口から話してくれました。

 指導を受けている若手の人たちは20代前半の方が多く、私とは親子ほどの年の差があります。普段、話をしていると、なんとなく反発している雰囲気や様子というのも伝わっています。そうした中、面と向かって話をしているさなかに、驚きとともに自分で問題点に気づいた決定的な表情を見て、私の中では「よし、これで活動が前へ進んでいくぞ」と手応えを感じた瞬間でもありました。

 もっとレベルの高いコンサルティングを実践している方々から見れば、本当に初歩的なところだとは思いますが、こういった経験は自身のコンサルティングにどこかマンネリ化したところはなかっただろうかと反省する機会にもなりますし、一方で成果や結果につながるだけではなく、目の前で指導している人たちの成長を垣間見ることができる、まさにコンサルタントとしての特権といいますか、楽しさ、幸せを感じられる貴重な機会でもあります。こうした経験を、今後も増やしてきたいと思います。

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