本ページでは、大創株式会社様に対するコンサルティング実績をご紹介しています。
大創株式会社は、紙器・段ボール用の打抜木型やオリジナル製品を開発する企業。お客様の問題解決に役 立つ独創的でユニークなモノづくりを続けている。
木型技術のスペシャリストが作る紙箱用の打ち抜き木型。精度と耐久性が要求される一品もの。他社がマ ネのできないモノを作りたいという意気込みが組織に根付いていた。
もう一つの主力製品である“Gテープ”は、紙箱を組み立てる際の折れ曲げ線の作成を、ワンタッチで可能に する型抜き補助具。数十万回の打ち抜きテストをクリアー、通常で20~30万ショット、セット変えなしで連 続50万ショットの使用に耐える。“Gテープ”は国内外の顧客が絶大な信頼を寄せる大創株式会社の主力製品だ。
今回は、人材力をテーマに意識改革を進める大創株式会社の改善活動を紹介する。
(※ASAP 2014年 No.2より抜粋)
大創株式会社様
中:大創株式会社 代表取締役 社長 大塚 雅一氏
左:大創株式会社 取締役 GS事業部長 三谷 正氏
右:大創株式会社 西日本抜型事業部長 大阪工場長 大塚 徹夫氏
コンサルティング導入までの流れ
本日はよろしくお願いいたします。まずご導入のきっかけについてお伺いします。
社長:
テクノ経営から届いたセミナー案内が最初のきっかけです。そのなかにあった 「人材力と生産性」というセミナーのタイトルと当社の経営理念「雲竜のごとく人財の大創」に共鳴する部分を感じました。
マネジメント系や銀行系のセミナーにはよく参加していましたが、製造業向けのセミナーは少なかったので、話される内容についての 関心もありました。
それで一度、私自身でセミナーに参加させていただきましたが、当社が求めている「仕組みづくり」や「人材力を活かす」ということに 関連したお話を伺ってさらに興味を深めた次第です。また「VPM戦略経営セミナー」には私と両事業部長の3名で参加しましたが、 大会の発表事例には非常に感動し、コンサルティングを検討してみることにしました。
三谷: 私自身も「VPM戦略経営セミナー」に参加して、今までにない印象を受けました。 それは導入企業によるVPM活動の発表があったからです。単なる講演ではないリアルな事例紹介を聴いて、参加させていただいている我々も たいへん感動しました。それで社長のコンサルティング導入のご意向に賛同させていただいたわけです。
工場診断を受けられたご感想はいかがでしょうか。
三谷: 工場診断後のプレゼンテーションをお聴きして、さらに私の望んでいた改革の方向性 が明確になりました。
大塚:
「きれいな場所じゃないとちゃんとした製品は出来上がらない」と会長から常々言われて きましたが、コンサルタントからも「5Sのなかで重要なのは整頓です」と説明されました。
整頓しようと思えば整理しなければならず、整理する前には必ず清掃が必要不可欠です。重要なことは一歩を踏み出すことで、現状の延長線で試行 錯誤するだけでは効果的な改善は期待できない。そういう話をお聴きして自分自身もコンサルティングを受けてみたいという気持ちになりました。
コンサルタントの視点は参考になりましたでしょうか。
大塚:
それまでは自分たちのものさしでしか物を見ない傾向がありました。また我流でやっていると 活動の軸がぶれてしまうこともある。社内活動が中心となって成果の追求が忘れ去られるケースです。
コンサルタントから、目的と手段の混同を指摘され、活動推進の効果がどれだけあるのかを一人一人に問いかけ、成果の刈り取りをする必要性を感じました。
社長: 努力する方向が定まらない状態で闇雲にやっても効果はないと気付かされる部分がありました。 改革の方向性が明確になったことが工場診断から得た収穫です。
改善活動の推進
改善活動の概要についてお伺いします。
社長:
今回の活動は、西日本抜型事業部の大阪工場とGS事業部が対象です。
大阪工場は打ち抜き用の木型を受注生産する部門、完全なオーダー型の製品で木型製作の熟練度が要求される職場です。一方、GS事業部は当社の主力商品 であるGテープの生産部門であり、146品目の量産品以外にカスタマイズされた特注品も生産しております。
“ROAD TO 2021 ADVENTURE WORLD”というテーマは、創業50周年に向かって業界№1を目指そうという活動名です。各事業部3チーム(合計6チーム) の編成で活動を開始しました。
大塚: 活動目標は工数を金額に直して設定しています。C改善(日常改善)では1人当たりの生産性を工数単価 で数値化、D改善(プロジェクト型改善)では、売上に対してどれだけ生産性が上がるかを目標としました。
従業員の皆さんのコンサルティグに対する反応はいかがでしたか。
三谷:
確かに初めは現場からの反発がありました。それも特にGS事業部が強かったと思います。正直なと ころ、上手く行くのか心配でもありました。しかし、コンサルタントの人柄が徐々に理解されるにしたがって若手メンバーを中心に変化が生まれ、コンサルタン ト指導日に先立って自分たちで準りました。みんなの気持ちの中に、コンサルタントに対する信頼が生まれてきたのではないでしょうか。
またチームリーダーが先頭になって、しっかりやろうという空気で一般社員を巻き込めたこともよかったと思います。今ではパートさんまでが抵抗なく自分の 意見を発言できる雰囲気になり、逆にチームリーダーに「進捗状況はどうなっているのですか?」と尋ねるようになりました。
社長:
今思えば、最初の指導会はぎこちない空気だったと思います。GS事業部は、目標数字の設定や資料 作成などを重荷に感じていたメンバーも多かったと思います。
反対に抜型事業部は、この機会に、これまで我流で進めてきた改善についてコンサルタントに意見を聞いてみたいという思いもあったようです。このように2 つの事業部では少し雰囲気が異なったのですが、徐々に各チームリーダーたちの意識が変わり、活動の推進力が増してきたように思います。
社内の雰囲気が変化してきた理由は何でしょうか。
社長: やはり現場での実践コンサルティングが功を奏したと感じています。そして、社内改善で進めていた 時とは目標設定のレベルがまったく違います。我々が気付いていた水準とコンサルタントが目指そうとするレベルには大きな格差がありました。また、C改善や D改善の推進においても数値目標に対するアプローチの仕方がぜんぜん違う。高いハードルに苦しみながらも、一つずつ乗り越えて喜びを分かち合うような流れ になっています。
活動成果について
今回の活動成果はいかがでしょうか。
三谷:
活動を開始して、3か月目に1.5倍の生産性向上に成功し、設備を入れ替えたわけでもなく、人の意識改革だけでこれだけ変わるものかと驚きました。現在も活動を推進中なので、最終的な目標達成に向けて進めておりますが、短期間で大きな成長が現れている ことは事実です。
意識が変わった一つの例としては、100%の数値目標に対して、次回の指導日までの到達目標を80%と宣言するチームが出てきたことです。コンサルタント が「本当に大丈夫なの?」と念を押しても「やります!」という返答、横で聞いていた私も心配になりました。が、あっという間に80%を越えてしまいました。こ んな短期間で目標達成に近づいているだけに、これは普通ではないという印象を受けました。
それだけのポテンシャルを持たれていたのでは?
社長: そうかもしれません。そこが人の潜在力を柔軟に引き出すVPM活動の特長ではないでしょうか。定 まった教科書に沿って行うコンサルティングでは、こんなに人の潜在力を引き出すことはできないと感じています。
三谷: また、我々が言いにくいことをはっきりとズバリ言っていただけるので、その部分でコンサルタント には大いに助けていただいている。我々の考えをご理解いただき、我々の目線に立ってご指導いただけるところが非常に大きいです。
社長: これは3人の共通認識ですが、人材育成面ではVPM活動を通じて予想以上の成果が出ていると感じています。特に、チームリーダーの成長が大きく、これはかなりの波及効果となっています。
大塚:
チームリーダーは、最初は頼りない感じもありましたが、本人たちも自信が出てきたこともあって、 最近ではかなり積極的に取り組んでいます。以前から頭を悩ませていた、主任・係長・課長などの管理職についても責任感が生まれ、任せておけばしっかりとや ってくれるようになりました。
その結果、組織としての統率が取れ、上司と部下の連帯感が生まれてきたと思います。それはチームで活動を続けるなかで得ることができた成果ではないでし ょうか。
活動を通して組織力が強まったということですね。
三谷:
そうですね。GS事業部では松竹梅の3チームで活動を進めておりますが、そのなかでも梅チームは 営業部と製造部で編成されたチームです。ところが以前から営業部と製造部の間にはわだかまりがあり、みんなで食事に行くなど、色々と試みましたが強固な壁 は解消されませんでした。
それが今回の活動を通じて、まったく以前とは違う信頼関係が芽生えてきました。朝のミーティングでも、今までのわだかまりを払拭してお互いに協力し合える ようになりました。これは私自身すごく悩んでいた部分だったのですが、大きな改善効果だと感じています。
今後の活動について
今後の活動課題についてお聞かせください。
社長:
今後の方向性としては2つあります。
一つは「乾いた雑巾からさらにどの位しぼりだすことができるのか?」という課題。今までは順調に活動成果がでていますが、維持していくほど惰性も生じて くるものです。上昇がストップしたときにどうするか。そこからさらにもう一段階上がるには新しい発想や創造性が必要になってきます。
次に重要なことは活動の全社展開です。GS事業部は大阪だけですが、木型工場は他に3工場あります。この横展開をどう進めるかということがもう一つの課 題です。
当社の特色は個性を持った事業部や工場が多いことです。全社展開をはかるといっても標準化がすべてではなく、基本を大事にしながら各部門のカラーを活かした改善を進めることができればと思います。
大塚: 抜型事業部では一点一点違うものを作っています。そういった面では技術・技能伝承が必要不可欠な 職場です。それを一層強化してお客様からの信頼を高めていきたいと思います。
三谷:
GS事業部では、製造部門の見通しがつけば営業部門にも本格的に展開していきたいと思っています。 営業部門はベテランもおりますが若手人材もたくさんいます。
GS事業部の場合は消耗品の製造・販売をしており、西日本については九州、岡山、大阪、中部営業所、東日本は代理店で進めています。顧客対応力も含めた営業部門の強化策を考えています。
これからのビジョンについてはいかがでしょうか?
社長:
「雲竜のごとく人財の大創」という創業からの経営理念を実現できる会社づくりをこれからも進めてい きたいと考えています。今後は日本の市場も縮小傾向ですので、そのなかで占有率をいかに上げるか。そういう意味では選ばれる会社にならなければいけないと 思います。
お客様から選ばれる条件は千差万別だと思いますが、当社を選ぶ理由として「大創だから」だと言っていただきたい。そのときに主人公になるのが社員、人材が素 晴らしいからこそ勝ち残っていけるのだと思います。これからも人の力に磨きをかけていきたいと考えております。
本日はありがとうございました。
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