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黒崎播磨 株式会社様

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世界に勝利する 生産革新のためのKMS-Ⅱ活動

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 本ページでは、黒崎播磨 株式会社様に対するコンサルティング実績をご紹介しています。
 大正8年、北九州八幡に創業した黒崎播磨株式会社。「より良く、より早く、より安く」を創業社是に、耐火物の製造および販売を通し、一貫して国内外の鉄鋼業や基幹産業を支える重要な役割を担ってきた。
 溶けた鉄の温度は、1600~1800度、高温に耐えられる耐火物は溶鉱炉にとって必要不可欠な存在だ。そして、優れた品質と精度を持った耐火物の製造には高度な技術と経験が求められる。
最近では、耐火物で培った材料技術をもとにしたファインセラミックス事業、快適で美しい生活空間づくりの展開など、新素材の様々な可能性にも挑戦を続けている。
 改善活動ではすでに伝統のある同社。現場改善の新たなステージに向けて、製造現場の実践力を高めるKMS-Ⅱ活動を開始した。今回はその現場を取材した。
(※ASAP 2012年 No.6より抜粋)

中央:取締役 常務執行役員  黒田 浩太郎 氏
左 :設備技術センター長  伊東 博之 氏
右 :設備技術センター マネージャー  中村 篤 氏

KMSーⅡを始動せよ!

本日はお忙しい中お時間をいただきありがとうございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。まず、はじめにコンサルティング導入の背景についてお伺いします。

黒田: 当社では、長年やってきた小集団やサークル活動を、新しい実行力のある改善活動に変えるという目的で、平成18年からKMS活動を開始しました。当初、生産性の向上と品質の安定を ターゲットに活動を始めたのですが、まず、その前に3Sによるベース作りで足元を固めてから改善活動に入ることにしました。
3Sや見える化、標準化という基礎固めを1年程度で片付けて、生産性向上という本丸に攻め込もうと考えていたのです。ところが、3年くらいやっても3Sや標準化は一応進展したが本丸の生産性向上改善活動がなかなか進まない。 一部の職場では、動線の見直しや標準時間の改善などが実施されていましたが、部分から全体に生産性向上活動が波及していかないのです。
そこで、どうも我々だけの力では難しいのではないかと思うようにもなっていました。ちょうどその頃、現在の当社、備前工場(旧九州耐火煉瓦株式会社)がテクノ経営の指導を受けていることを知りました。これらが導入のきっかけとなり、 KMS-Ⅱ活動を開始することになったのです。

ありがとうございます。弊社をご採用いただいた理由は何だったのでしょうか。

中村: 導入に当たってはコンサルティング会社を数社検討しました。テクノ経営にお願いすることにした理由は、まず、改善成果を数値化して把握できるシステムが出来上がっていることです。 これにより行動と成果の関係が見える化でき、求心力を失うことなく活動を継続できると思いました。
 また、過去のグループ企業におけるコンサルティング実施の経緯が豊富であること。その指導ノウハウにも魅力を感じていました。
 指導面では、「作業のムダに気づきを与える」「問題点の掘り起こしをはかる」等のきめ細かなアドバイスがコンサルタントの人柄と相まって効果的でした。導入後、現場からも「親身になって悩み・疑問に答えてくれる」という声を聞いており、 また、当社社長もこの様な活動に共感されています。

3年計画で生産性アップを目指す!

今回の改善活動の概要をご説明ください。

中村: 今回のKMS-Ⅱ活動は、昨年(2011年)から3年間の計画で開始しました。現在、第1期目を経て、まさに第2期目に入ろうとしている時期です。第1期目は国内にある10工場のうち、 4工場(AG工場、FC工場、八幡窯炉工場、木更津不定形工場)を対象に活動を進めました。第1期目の活動対象は4工場の現業者450名です。3年間で140%(第1期120%、第2期130%、第3期140%)の労働生産性向上を目標に活動を進めています。

コンサルティングに対する従業員の皆さんの評価はいかがでしょうか。

中村: 今回の活動について、事前診断により職場を見ていただきましたが、その際、“在職場率”という基準がでてきました。こうした視点で現場を見たことはどのメンバーにもなく、 斬新な考え方に魅力を感じたようです。また、活動の成果を“活人化”という形で評価されることも魅力的であったようです。また、プロジェクト型活動である“D改善”を進めるにつれ、技能伝承も加速化され、 結果的に若き専任リーダー(会社の宝)が育つ効果につながりました。その結果、社長からも、「厳しい環境の中、当社に必要な活動である」「せかさず あせらず 丁寧に」が実現できるというコメントをいただいています。

黒崎播磨 株式会社 本社

活動のご苦労話やトピックスはありますでしょうか。

中村: 診断時に提示された“在職場率”や“付加価値作業比率”などの数値は各工場のメンバーに、かなりのインパクトを与えたようです。 当社社員の傾向として、物事に対して真摯に向き合う人物が多い反面、公の場ではあまり発言しない人も目立ったのですが、今回はこうした診断結果に刺激を受けた社員が付加価値要素の有無を決める際、ひとつの作業項目について、立ったまま現場で30分くらい議論する姿も見られました。
 C改善(日常改善)的な活動は以前からやっていた経験があるため、直ぐにでも横断プロジェクト型のD改善をやりたいという思いが活動開始の当初にはありました。しかし、標準的な進め方としてC改善を3ヶ月間先行させました。
 その“助走期間”があったことで、横の繋がり、時間の管理など、D改善の基礎が出来上がったと思っています。
 苦労話としては、多額のコンサルフィーを費やす関係上、予算管理部門などの冷たい視線を感じたことです。今回の様な全社的な活動を指揮したご経験のある社長からは、「冷ややかな人はこの様な活動に係わったことのない人。勇気をもってやりなさい」と有り難いお言葉を頂戴しました。
 コンサルの導入には、経営会議の決定が必須とされます。経営幹部を説得すべく、(パートナー会社社長も含め)既に導入経験のあるグループ企業(旧九州耐火煉瓦株式会社)での現地説明や事前の調整を何度も行いました。また、コンサル対象の4工場は3事業部に分れていましたので、 3名の事業部長の意思疎通(目的・方法の共有化)を配慮して計画を進めました。

KMS-Ⅱ活動 社長報告会より

活人戦略と第2期活動の推進

第1期の活動成果はいかがでしたか。

中村: 第1期目は、生産性向上123%で目標達成。35名の活人化を確保できました。これが定量的な成果となりました。ある工場では、この活人要員を外注業務に振り向けて大きなキャッシュメリットを生み出すことに成功しています。
 また、定性的には、自主自律的に課題解決する姿勢が強化されたこと。他チームとの良い比較・刺激でモチベーションが向上できたことが上げられます。その結果、職場間の壁がなくなり常に協力し合う環境が形成されてきました。スキルアップ面では、作業改善の意識が強くなり 多能工化・技術伝承が活発になったこと。時間の使い方が上手くなり、余力の活用ができるようになったことも大きな成果だと思います。
 コミュニケーション的にも、他職場の作業内容を知ることで、互いに理解が深まり助け合いが見られるようになってきました。
 当初、活動人員として、4工場には専任リーダーを1名ずつ配することになっていましたが、3工場については結果的に増員しないで済みました。この点についても専任リーダーの役割を補填するコンサルタントの優れた指導のおかげと思っています。
 また、D改善活動については、“女性の発言”が多く見られました。今までとは異なる角度・センスで改善が進んでいるのも活動効果だと感じています。

第2期からは、赤穂工場でも活動を開始されるとのことですが。

中村: 今回の活動は、コンサルティングを受けていない工場に対しても刺激となっています。第2期からは赤穂工場が参入、まもなくキックオフを行う予定ですが、その他の工場においても自主改善という形で同様の手法の活動を展開する予定です。

これからの活動について

これからの貴社のビジョンや改善に関するお考えについてお伺いします。

黒田: 重要なのは活動が会社を支えるのだという意識ですね。そういった意味では成果も問われます。幸いに当社では活動の成果も上がり、社員の想いと社長の想いがベクトルを一致させて絵を描きつつあるというところです。
 我が社は鉄鋼用の耐火物製造販売がメインです。しかし、ご存知のように鉄鋼業界は国内のパイはもう拡がらない。少子高齢社会で人口が増える見込みはないですから。社会でも鉄の消費もだんだん減っていく。
そして、鉄から軽量素材にという流れも見られます。
国内が期待できないとなると世界市場でいかにシェアを獲得するかが課題となります。これは会社の存続にもかかわる大問題です。幸い東アジアでは鉄鋼使用量の伸びが大きい。今、足元の中国が過剰な設備投資をしている中で価格競争がますます激しくなり、日本の鉄鋼業界も苦労されていますが、 基本的には東アジア市場が中心になっています。このグローバル化の波に乗り遅れず、世界と戦える体質を作っていかなければならない。これが一番にやらなければならない課題です。我々、日本の会社がそういった環境の中でどう戦っていくか。そこで期待されるのは、品質であり性能であると 同時にコスト面であると思います。人件費や円高といった問題もありますが、これらの条件を乗り越えて世界の競合他社と互角に戦っていくには、やはり生産性を上げるしかない。海外に工場を持って行って、海外で作る。これは簡単ですけれども、それでは製品に期待される品質で顧客を 100%満足させることはできない。また、日本国内の工場が動かなくなると、その時点で技術の進展も停まってしまいます。その意味で、我が社の置かれた立場および自社の足元をきちんと日本の工場に据えてやっていくためには、この活動が一番の基礎になる部分だと思います。 もちろん、設備投資が必要な部分もありますし、時代に沿った新製品の開発も必要ですけれども、ものづくりというものは、基本的には人間ですよね。そういう意味では、この活動は一番の根幹になるものだと思っています。
 まだ、テクノ経営とタッグを組んで進めてきたのは1年に過ぎません。今後は、さらにレベルを上げながら活動を展開して行きたい。目標に限界というものはないと思いますから。
 例えば、人件費の安い海外企業と戦っていくためには、生産性を3倍くらいにしなければならないでしょう。これは今までの人員で3倍の量をつくること、あるいは半分の人員で1.5倍の生産をするということです。そう考えると山頂はまだまだ見えていません。
それは非常に高い目標であるが、必ずやらねばならない。その大きな目標を目指して進んで行きたい。
 我々の顧客は主に鉄鋼メーカーなので、一般の消費財のようにかっこいいコマーシャルで物を売るという業界ではありません。まさに品物の良さ、サービスの良さで勝負が決まります。ですから誤魔化しが効かない。一つずつきちんと確実に製品やサービス作りを行うことが求められる業界なのです。 最近、お客様に工場に来ていただく機会が増えてきました。活動を通じて、自信を持って対応できるようになったことも成長といえるでしょう。こういった意味では、当社活動をもっとPRして、品質とコストに対する信頼感を持っていただくことも大切だと思っています。

本日はありがとうございました。


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