本ページでは、株式会社明電舎 名古屋事業所 ロジスティクス工場様に対するコンサルティング実績をご紹介しています。
株式会社明電舎は東京都品川区に本社を置く住友グループの電気機器メーカー。重電機器、水処理、産業機器等を幅広く手がける有力企業であり、 主要製造事業所は、沼津、太田(群馬)、名古屋事業所である。中でも名古屋事業所は1935年10月設立の歴史ある事業所であるが、今回お伺いした ロジスティクス工場は1993年6月に設立された新鋭の工場である。名古屋事業所の位置する愛知県清須市は織田信長の本拠地としても有名であり、 清洲城は市民のシンボルであると同時に清洲公園として憩いの場となっている。
(※ASAP 2010年 No.2より抜粋)
はじめに貴工場の概要についてお話ください。
従業員は名古屋事業所全体で354名、そのうちロジスティクス工場は約100名です。同社の全社売上は1,627億円(08年度)ですが、 当工場の生産規模は52億円(08年度)となっています。主要製品として、フォークリフト、ゴルフカート、高所作業者などの産業用車輌に使用される 車両用電装品、AGV(無人搬送車)を中心とした物流製品とFA製品の製造を行っています。
コンサルティングご導入の経緯はどのようなものだったのでしょうか。
当工場では、コンサルティング導入の改善活動として、今までに3期の活動を実施してきました。第1期(2006年10月~2007年9月)は、 電動車両用電装品製造ラインの改善、電装品部門の生産性アップ活動に1年間取り組み、第2期(2007年10月~2009年3月)では物流製品 (AGV)の設計から出荷の仕組み改善活動を1年半実施しました。そして、第3期(2009年4月~2009年12月)ではCR(コスト・リダクション) 活動に取り組みました。
初回は生産性向上が主要なテーマでしたが、活動の目標・成果はいかがでしたか。
第1期活動は、電動車両用電装品製造ラインの生産性向上が目的でした。活動自体は2006年6月から製造ラインの大幅変更を計画して進めていましたが、 その計画の方向性が間違っていないかの確認と、生産性を130%向上させるための指導を目的にコンサルティングを導入することにしました。導入当初は、 月3回の指導と次回までの課題解決というスケジュールは、各チームリーダーにとっては負担が大きく、立ち上がりの加速度は緩やかなものでした。また、活動対象者 全員にノルマとして課した、C改善(日常改善)の件数も非常に苦痛だったのではないでしょうか。しかし、活動対象が量産品であるということで、わかりやすい成果 指標を掲げることができたため、生産性が徐々にアップしていくことが実感でき、それが励みとなって活動が活性化され、大きな成果を生み出すことができました。 改善提案の件数も工場部門で1位を維持するような職場へと変貌しています。これまでは自分たちから積極的に改善を推し進めるという意識が薄かったのですが、回数を 重ねるごとに「改善は自分たちでやらなければ」という意識が根付いたためと思います。生産性130%達成後もさらに活動を展開し、生産性目標を150%に 上げられるまでに成長し、各チームリーダーのリーダーシップにより、この目標も達成することができました。
第2期は、新規開発品である物流製品の設計~出荷までの生産性130%を目標としてスタートしましたが、負荷変動が大きく、なかなか全部署揃っての指導を受ける ことができませんでした。その結果、活動の方針がなかなか定まらず、また、生産性の評価にもたいへん苦労しました。いわゆる一品ものであり、営業技術部の見積もりに より決定したものなので、生産性の向上によるものなのか、見積もりの精度の差によるものなのか判断しづらく、活動の成果としては十分な達成感を味わったとまでは 至りませんでした。しかし、設計・開発部門では現在もC改善(日常改善)を継続中です。
コンサルティングご導入時の社員の方の反応はいかがでしたか。
やはり初回が大変だったようです。外部から指導していただくというのが初めてだったので、何をやるかはともかく不安だったと思います。特に2週間に 1回、月2回の割で指導いただいていましたので、次回までの宿題をこなすためにグループリーダーは相当苦労したようです。導入前は現場改善についてもあまり 積極的ではなかったため、いいアイデアには報奨金が支給される社内報償金制度や、他の工場間での評価制度があっても十分活用できていなかったためです。
CR活動では、月3回の指導を受けました。C改善を自主的にやってきた成果、その下地をもとにCR活動に取り組んだことにより、導入は比較的スムーズで BM手法もどうにか定着してきました。それまでは業者間の比較で購買価格を決めていましたが、BM手法は絶対値を設定するという全く違う発想のCR手法であったため、 活動メンバーも非常に興味を抱いていました。ただ、先生が厳しいのでプライドを持っている開発メンバーが反発するといったことは見られました。
第3期からはCRを中心としたテーマに変わられた背景はなんでしょうか。
第1・2期は生産性向上が主な活動テーマでしたが、世の中の景気変動や顧客からの要望もあり、生産性だけではなくて、全体のコスト低減が重要課題と なってきたため、当社として全社CR活動を重点活動として進める「ものづくり改革本部」が2009年4月に開設しました。これを受けて、名古屋事業所でも 生産性アップからコストダウンに活動の比重を移すことになり、変動費の削減をテーマに購買品の原価低減を検討することになりました。今回のコンサルティング導入に あたっては2社のコンペで検討したのですが、他社は一般的によくある改善活動が中心であったため、斬新なBM(ベンチマーク)手法を提案したテクノ経営に決定しました。
CR活動は間接部門が対象として進められたのですか。
第3期は開発部門を中心とした活動になりました。量産品を主対象としたため、受注生産の担当部門については直接指導を受けてはいませんが、オブザーバとして 参加させたり、ミニセミナー開催によりベンチマーク手法を共有化していきました。
これまでの活動では、ライン担当部門が中心だったのですが、今回は開発部門と資材部門が中心となりました。特に資材部門は直接窓口となるところですから、 その手法自身の考え方をちゃんと理解してもらわないといけないということで最初から一緒に入ってもらっていました。
活動の取り組みはどのように進められましたか。
前半の4~7月は、バッテリーフォークリフトのコントローラから2機種2チーム、購買チーム1チームの計3チームで活動を進めました。購買は開発チーム間を 横断的に活動展開するという方法です。後半の8~12月は、バッテリーフォークリフトとAGVという2チーム編成で、購買チームはそれぞれのチームに加わるという 進め方にしました。
各チーム間ではお互いによりよい方法を模索しながら活動を進めていきました。
活動は、前半に車両用電装品の主力製品である、バッテリーフォークリフトのモータコントローラ既存機種2機種を、後半はこれから開発するモータコントローラ 1機種とAGV製品の主流になりつつある簡易型AGVを対象としてベンチマーク手法を指導の主眼において進めました。目標設定については、既存機種はすでに何度も CRを重ねてきていますので、30%、新機種についてはゼロからのスタートということで50%というCR目標を設定しました。
活動成果についてはいかがでしょうか。
今回は開発・資材部門が主体で、対象者も少人数であったために、月2回の指導と次回までの課題解決についていくのがやっとでした。活動の課題として、計画に対する実践力の弱さ、計画値を達成するためのシナリオ作りが不足していたと思います。活動成果としては、既存機種は目標達成、新機種は若干の目標未達成という状況です。 既存機種では成果の実現(刈り取り)に少し予定からの遅れが出てしまいました途中変更ということもあり、変更計画を社内に周知させていなかったため、部品在庫・中間在庫を 絞り切れなかったこと。もうひとつは、CR案が積み上がった段階で段階で満足してしまい社内外に対して、しっかりとコンセンサスを取れなかったため思わぬ障害が あったことです。プランで安心してしまった反省があります。
ミニセミナーでBM手法を多くのメンバーが学べたのはよかったと思います。BM手法は製品開発時の大きな武器となるので、今後のCR活動の基本として根付かせたいと 考えています。また、VA機能別コスト分析などもそれまで知らなかった手法であり、とても参考になりました。
最後に今後の活動の方向性・ビジョンをお聴かせください。
不況が続くなか、更なるCR要求への対応が求められています。今後は新規開発品へのCR対応も考えていく必要があり、また開発・設計部門のロス削減も課題です。 引き続き、2010年4月より全社CR活動を実施予定しています。企業ビジョンは、ものづくりワールドNo.1事業集団の構築」技術力No.1・知名度No.1・生産力No.1です。