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生産性や品質向上など、企業の抱える課題は数多くあります。最近、「日本の生産性は低い」と言われます。その本質的な問題はものづくりそのものの仕組みにあると考えています。どこにその本質的な問題があるのでしょうか?
それは、設計をみると良くわかります。昔の話ですが、日本の工作機械メーカーでは、ユーザーニーズを視点に、主軸から設計を開始し、ベッド(機械本体を構成し、案内面を備えている台)を最後に設計してきました。ユーザーニーズを捉え、さらに日本お得意の摺合せによりニーズを可能な限り追究して行きます。
逆にドイツでは、日本とは正反対で、工作機械の基礎であるベッドから設計し、最後にユーザーニーズを満たすべく主軸を設計する方法です。ドイツ流の設計の良さは、標準部分は可能な限り残したままで、ユーザーニーズを極めた多様な機械を作り出すこと、製品寿命も長くなります。
日本の方法は、余計な部分も含めた顧客ニーズ実現のために膨大な時間が必要になりますが、逆にドイツの方法は、標準化を徹底することにより効率化を追究し易い可能性があります。
絶え間ない顧客要求の変化に常に神経を尖らせ、“おもてなし”を行うのが「ニッポン品質」です。もしかしたら、日本の摺合せ技術は顧客ニーズと品質を極めて行く方法ではなく、単なる後始末でしかないかもしれません。