産業技術のレベルが高いにもかかわらず、日本の労働生産性(売上高/従業員数)の低さが先進国の中で際立っています。その一因である人件費の高さを背景にして、各企業においても労働生産性を上げるための必死の改善努力が進められています。
「労働生産性だけでなく、他の指標も用いて改善を進めているが期待する成果がなかなか出ない」―企業幹部の方からよくお聞きするお悩みです。
今回は、その重要な要素である改善活動の指標について考えてみましょう。
まず、最も用いられる改善指標に生産効率(標準時間/実績時間)があります。実績時間を標準時間以下にするというターゲット絞り込みが出来、改善が進め易いメリットを持っています。ただ標準時間の設定が困難な職場も多く、少品種生産の場合は比較的容易でも、現在の主流である多品種生産では設定に労力や期間が掛かるという難題を抱えています。
そこで、今回は標準時間の設定が難しい企業でも活用できる「総合効率」を紹介したいと思います。
人の生産性に着目した「総合効率」は、①短期間で設定できる、②従業員が活動指標を身近に感じられる、③上位の指標結果に結びつく、という3つ利点を持っています。
①の基準時間については、品種間の時間やバリエーションが少ない要素作業を対象に価値作業のみを測定するため時間が少なくて済み、②の指標設定については、自分達の作業で「価値作業に該当するものは何か」を自ら見極めながら携わるため活動の自主性が育まれます。また③については、式の値の上昇には、分子・分母の増減が関係しており、すなわち労働生産性向上と同義になる指標性を備えています。
私が支援させて頂いた企業の幹部の皆様からは、「この指標は、改善のバロメータとして、非常に役立ち改善も進む。改めて改善指標の大切さを実感した」とご評価を頂いています。本コラムがご参考になれば幸いです。ご不明点や更に詳しく内容に関しましては、弊社までお気軽にご質問頂ければと思います。