コラム/海外レポート

2021.05.24

世界的な業績回復とモノづくリ現場の今後

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海外でもコロナ禍からの回復に向けた動きが始まっている、そして国内の製造業でも復調の兆しが見えてきた。トヨタ自動車は営業利益が前期比13・8%増の2兆5000億円。日本電産、村田製作所、TDKなどの車載関連を含む電子部品メーカーなども好調をキープしている。自動車産業は国内の基幹産業として幅広い業界に影響を与えるから、業績回復のニュースは事業低迷に苦しんできた産業界にとってとっても心強い話題である。
しかし、一方で業績の不振に悩む製造業も多い。そして同じ業種でも企業間格差が広がっているのである。たとえばトヨタは好調だが、日産は3月期の決算で600億円の損失で3期連続の赤字を続けている。
その格差を生み出すものはなんだろう。その一つが海外戦略、やはり世界で戦える条件を備えなければならない。製造業は部品がなければモノが作れない。だから世界的な半導体不足では調達力の違いが業績に大きく影響する。国内で縮小する分野は海外市場で稼ぐしかないだろう。またDX(デジタル・トランス・フォーメーション)によるデジタル改革も重要だ。もはや情報が瞬時に世界に伝わる時代。企業規模に関わらず、デシタル技術を有効に活用して戦略活用することはモノづくりだけでなく、これからの企業経営に欠かせない条件になっている。
そして、もう一つの条件がコラボレーションではないかと筆者は考える。日本の中小製造業にはキラリと光る技術を持った企業が多い。そうしたモノづくり企業が日本の産業界を支えているのだ。それらの技術を組み合わせコラボレーションにより新しい製品やサービスを生みだすことができるはずだ。すでに多くの事例も生まれているが、そこで一番に必要なのがコミュニケーション力ではないだろうか。企業は人が動かしている生命体である。連携力を発揮して社内か社外かを問わず、自社の戦略に向けて情報共有化によりビジネスを創り上げること。一人ひとりの社員がいきいきとしていることが成長する企業の条件だと実感する。
「スクラップアンドビルドでこの国はのし上がってきた。今度も立ち直れる」とは『シン・ゴジラ』で対策本部長が述べたセリフ。コロナ禍のような、予想もしない状況はこれからも訪れる。外部環境の悪化を業績不振の理由だと暗く考えるのではなく、ポジティブな視点を忘れずにがんばっていきたい。ポストコロナに向けて世界は動きだしている。この流れに乗り遅れないよう成長への軌道を確かなものにしていきたい。

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