ビニフレーム工業株式会社は、昭和37年にプラスチック建具・襖のパイオニアメーカーとして誕生し、その後はアルミ建材メーカーとして日本のアルミ産業の発展とほぼ軌を一にして、その歩みをすすめてきた。
現在は、アルミ建材商品として手すり・笠木、カーポート、網戸、その他エクステリア商品など数多くの種類の商品を手掛けるとともに、当初のプラスチック商品の基幹技術である押出成形技術を生かして樹脂サッシ部材、LED照明用カバーなど多様な商品を送り出している。
同社の新夕社長は、親会社である日本カーバイド工業株式会社で工場長を務めていた時に、テクノ経営のコンサルティングによる業務改善活動に関わった経験をもつ。
「当時、プロジェクトリーダーとして改善活動に取り組み、多くの成果を上げることができました。それでビニフレーム工業の社長に就任後も当社での改善推進にあたってテクノ経営によるコンサルティング導入を検討することにしました」
新夕社長は過去の経験から、コンサルティングによる改善活動の高い有効性を実感しており、赴任先のビニフレーム工業での改善推進にも、その力が必要だと感じていた。そこで新タ社長は社長就任後すぐに現場の責任者と相談し、テクノ経営のコンサルティング導入を決めたのだった。
ただ、新タ社長に不安がなかったわけではない。自分自身はコンサルティングによる改善活動について成功体験があるものの、現場スタッフたちはコンサルタントによる指導を受けたことがない。彼らが、活動の意味を理解し、受け入れ、取り組んでくれるかが一番の心配だった。
「最初は多少の抵抗感はあったようです。ただ最初に行ったのが、業務の中での『気づき』を紙に書いて貼る、という取り組みやすい内容だったのがよかったと思います。」
新タ社長の不安は杞憂だった。もともと業務に対して真摯に取り組んでいたスタッフは、日常業務の中での小さな気づきを自分たちで見つけ出すという最初の活動を着実に根づかせていった。そこから各チームが改善テーマを抽出し、目標とベンチマークを設定したうえでキックオフ式典を行い、実際の改善活動がはじまった。
「活動のネーミングはスタッフから公募して『改善∞(見つけ)隊』にしました。無限大マークを双眼鏡に見立てて、気づきを見つけて改善を無限大にやっていきましょうという意味です」
具体的な活動目標は各チームのリーダーがキックオフ式典の際に色紙に宣言書を書いて社長に提出した。
こうして、スタッフ自らが自分たちの業務を見直し、気づきから具体的な方向性を導き出すという非常に能動的な改善活動がスタートした。
人に重点を置き、仕事現場においての「活人化」を基本とするテクノ経営独自のメソッド「VPM」の観点においても、現場からの気づきから始まる業務改善への自発的な取り組みは非常に重要である。
今では発表資料に趣向を凝らすなど現場のスタッフが楽しみながら取り組むまでに改善活動が浸透しているという。
現場のスタッフが業務改善を自分たちの課題と捉え、真摯に向きあうひた向きな姿勢によって、今、同社の業務改善活動は確実に実を結びつつある。