コラム/海外レポート

2022.01.20

ユーザーエクスペリエンスと製造業

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インターネットが普及し数十年、そしてそのネットへのアクセスもスマートフォンやタブレットの登場で、まさに「いつでも、どこでも」繋がる社会になって久しい。
世に溢れるさまざまな製品の中には、生まれたときからスマートフォンがある世代がメイン購買層というものも多くなってきている。
このような背景にあって重要視されているのが「ユーザーエクスペリエンス(顧客体験)」だ。
昨今の消費者は単にモノを購入しているのではなく、エクスペリエンス(体験)も同時に購入している。つまり消費者は購入プロセス、製品を買う際の店頭での印象、設定の簡単さ(使い始めのセッティングにイライラさせない)、通販における輸送時間、トラブル時にストレスのないサポートが受けられるなどの「体験」をすべて含めて製品を選択、購入している。
Appleの新製品発表の方法や店舗づくりなど、まさにその代名詞ともよべる一例である。
スペックやデザインに関する情報が事前にいくらでもネットで比較・調査可能な時代に、消費者の要求がこのような製品スペック以外の領域にも広がるのは必然であるといえるだろう。
今日の消費者にとって、手に取った製品の性能などはネットを調べればわかることであり、大切なのは「いかにストレスなく使えるか」「持っていて周囲にどう思われるか」「すぐに壊れてしまわないか」などをより深く複雑に検討する傾向がある。
こうした中で製造業に求められているのがBtoBtoC企業への変化であるといわれている。
自動車に標準装備されているオーディオを例にとってみよう。消費者はそのオーディオ機器が壊れた場合「このカーステレオは品質が悪い」ということより「この車はカーステレオさえろくに動かない」という自動車メーカーへの悪いエクスペリエンス(体験)を抱いてしまう傾向がある。そのために直接顧客に接するBtoC企業は、サプライヤーへの要求をより強くし、細かく品質を制御することとなる。
その結果としてBtoB企業としてもよりエンドユーザーを意識し、焦点をあてた取り組みが必要になるというわけである。
これらのことをふまえたバリューチェーン全体の見直しも進み、メーカーに対して行ったある意識調査では、半数以上のメーカー企業が、取引先の再検討を含めたバリューチェーンパートナーとの交渉と協業がより重要になると回答している。
情報があふれ、価値観が多様化する中、いまやBtoB企業にもエンドユーザーを見据えたBtoBtoC企業としての動きが必要になってきている。

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