タイに赴任して来年で3年になります。初めて訪タイした時、汗っかきな私はタイの暑さと所々陥没した道路の歩き難さに辟易としながらも、活気ある人々の往来に高揚していました。2020年の5月以降は、タイ政府のその都度変わる施策に右往左往しながらも対応してきたことは日本人駐在員にとって、記憶に新しいのではないかと思います。
この約2年半はコロナに翻弄されてきましたが、今思い返せば渋滞がなかったのは快適でした。バンコクの渋滞の酷さは世界でも指折りですが、コロナ前より酷いのではないかと思うほど、今では渋滞も観光客も戻っています。中国が未だゼロコロナ政策を取っていることもあり、コロナ前の中国人観光客に代わって、いまではインド人をよく目にする機会が増えていると感じる今日この頃です。
さて、国連によると、世界人口はついに80億人を突破するそうです。そして、来年2023年にはインドが中国を抜いて世界で最も人口が多くなるとみられています。確かに、インド人の旅行者の多さにもうなづける話です。一方で、日本を含む61の国や地域では、出生率の低下などから2050年までにそれぞれ人口が1%以上減少すると予測されています。ここタイでも高齢化社会(総人口の14%が65歳以上)に突入し、2027年から人口減少に転じ、35年には65歳以上が21%以上を占める超高齢化社会が到来します。少子高齢化における最大の問題点は、15~64歳の生産年齢人口が減少することによって経済成長にブレーキがかかることです。
そのため、30年、40年前の日系企業がタイに進出した時期とは明らかにタイの位置づけは変わってきていると思います。当時の人件費の安さだけではなく、人材の育成、世代間の人員構成の不均衡解消、より付加価値の高い部門への人材の移行などが求められてきています。日系企業として、タイ人はすぐ辞めるから教育しても仕方がないでは済まされなくなってきているのです。日系企業として、日本人として、変化していくタイの中でも、何か一筋の光を見出し、タイの一助になれるよう行動していく力強さが求められているのではないでしょうか。