コラム/海外レポート

2023.01.23

コロナ禍における品質向上事例

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  • タイ
  • 意識変革

執筆者:

久保 憲二

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コロナ(COVID-19)の感染者数はタイの公式発表では4,752,782人(2023年1月21日現在)です。タイの人口は約69,800,000人(2020年)ですから、罹患率は7%弱となります。実際に駐在員として住んでいる私からすると、少な過ぎると感じます。私が担当させていただいているクライアント様の活動の中で確認すると7割から8割の方が既に感染を経験しています。あくまでも私の予想ですが、公式発表の10倍の方が既に感染を経験しているのではないでしょうか。
タイでは抗原検査(ATK)キットがセブンイレブンで39BAHT(約150円)と簡単に購入できるため、自分で購入~検査し、陽性であれば解熱剤(サラ、タイレノール)を服用して熱が下がるまで自宅にいる方がほとんどなのではないかと推測しています。日本と違い医師の処方がなくとも薬は買えますし、前述した解熱剤などは1錠10円程度で購入できます。結局のところ集団免疫ができないとコロナの終焉には向かわないのではないでしょうか。タイでは最近は感染が落ち着いているのですが、これはある程度の集団免疫ができたのではないかと想像しています。
 また、外国人観光客の方も増えており、ノーマスクの方が増えています。バンコクでは3割程度の方がマスクをしていません。年末に行った地方のリゾート地ではほぼ全員がマスクをしていませんでした。現在の日本とは大きな違いが見られます。

 さて今回はこのコロナ禍でも品質向上に成功した事例をご紹介いたします。日本でもタイでも実施することは同じなのですが、タイでは+αが必要です。
日本でもタイでも、
(1) NGやNCを現場でなるべく早く見つけ、原因を究明し対処する。
(2) 月間や週間で不良金額、不良数量(率)、不良内容等を銘柄ごとに分析し、原因究明し対処する。
この二つの当たり前のことを地道に続けることが重要です。
 しかし、タイではこの二つだけでは成功しない場合が多いです。
 コロナ禍において、品質向上活動を2社実施させていただきましたが、1社目は各工程の検査員をなくし、最終検査のみにする。2社目は最終検査をなくし、工程内で品質保証する。
全く逆の内容ですが、2社とも成功し検査員が約半分になり、不良金額も半分程度となり、それを維持しています。
 どうすれば成功するか、その+αとは、結論から申しますと品質に対する「意識改革」です。

作業員 : 「私は作る人」⇒「私は良品を作る人」
検査員 : 「私は検査する人」⇒「私は出荷を保障する人」

 

このように意識改革を行うことが重要です。
 日本人の品質に対する意識や当事者意識はもともと高く、特に苦労しませんが、タイ人の意識はそれほど高くありません。特に当事者意識は大きな違いがあります。それらを高めていくことが重要なのです。前述したような品質向上策を行う場合、タイでは原因究明や対策・改善は管理者やエンジニアが行いますが、この時に作業者や検査員を巻き込むのです。
 その巻き込み方は業種、業界、製造物、会社風土等によって変わると思いますので、一概にこの方法とは言えず、我々コンサルタントに相談していただくことが近道かもしれません。

 海外では日本と同じ考え方では成功しない場合も多いですが、必ず成功すると信じて改革、改善を進めていきましょう。私もそのお手伝いを微力ながら続けていきたいと考えています。