コラム/海外レポート

2023.02.14

海外現地法人の近況

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売上高ベースではコロナ前を上回る

経済産業省が昨年末に更新した最新の海外現地法人四半期調査(2022年7-9月期 調査)によると、全地域(北米、アジア、欧州)の売上高は3,173億ドルとなり、前年同期比9.5%で2期ぶりのプラスとなった。2013年度からおおよそ2,500億ドル~3,000億ドルで推移していたが、コロナショックによって2期(半年)の間に2,000億ドルまで急激に落ち込んだ。その後、2020年7月以降はV字回復を見せており、今回の最新情報ではコロナ前を上回る売上高となっている。特に北米やASEAN10における輸送機械の増加が顕著で、その他では中国の輸送機械、ASEAN10の電気機械、北米の化学なども増加傾向だ。一方、中国の化学、欧州の輸送機械は減少しており、前年同期比でそれぞれ-12.5%、-11.2%となっている。

国内における製造業の状況

国内の製造業においても、2020年の下半期から同じく回復基調ではあった。その後は、世界的な半導体不足等の影響をはじめ、原材料や燃料コストの高騰などによって鈍化している印象だ。2022年経済産業省企業活動基本調査速報(2021年度実績)によると、製造業の一企業当たりの売上高は前年度比8.8%、営業利益は同74.7%、経常利益は46.6%の増加となっており、数値だけの結果ではあるが直近の状況としては上向きになってきているようにも捉えられる。

マレーシアやベトナムでは設備投資額が伸びている

再び海外現地法人四半期調査(2022年7-9月期 調査)に目を向けてみると、設備投資額の推移は2013年度の105億ドル付近をピークに緩やかに下降しつつ、横ばいの傾向を見せている。その中でも、最新情報ではマレーシアは前年同期比120.6%、ベトナムは前年同期比45.0%と両国とも2期連続のプラスで推移しており、マレーシアは従業員数も同様に2期連続でプラスとなっている。また、経済産業省が公表した第51回海外事業活動基本調査(2021年7月調査)によると、アジアにおける現地法人分布の状況は中国が7,486社、ASEAN10が7,414社とほぼ同程度ながら、中国では縮小傾向、ASEAN10では10年連続で拡大しているという結果だった。アジア圏における海外進出は様々なリスクや環境の変化によって、ASEAN10への注目が高まっていると考えられる

日本企業の未来を担うのは

新興国での賃金高騰や円安の影響により、外資系企業が日本に製造拠点を作る動きが出始めている。半導体の受託製造で最大手となる台湾のTSMCが日本で2棟目となる工場建設を検討しているニュースは記憶に新しい。安い労働力を求め、生産拠点を海外に移し続けていた日本企業も国内回帰の動きを加速させている。こうした動きは、国内における新たな雇用の創出や技術力の強化、人材育成にもつながっていく。一方で、まだまだアジア圏においては人件費の面では日本よりコストが安く、また優秀な人材が豊富に揃っている国もある。日本は近い将来、人口の減少によって確実に人手不足に陥る。技術の進化による無人化、省人化といった希望もあるが、海外の労働力が今以上に必要となる未来はすぐそこまで来ているかもしれない。