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2023.03.17

GX(グリーントランスフォーメーション)がもたらすもの

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GX(グリーントランスフォーメーション)とは

GXとは、グリーントランスフォーメーション(Green Transformation)の略称で、再生可能エネルギーへの移行といった先進的な取り組みを行い、経済活動を止めずに脱炭素社会の実現をめざす概念。国内においては、2020年に宣言された「2050年カーボンニュートラル」や2030年の温室効果ガス排出削減目標の達成に向け、排出削減と産業競争力の向上実現をめざしている。2022年7月に第1回目となる「GX実行会議」が開催され、日本におけるエネルギーの安定供給、そして脱炭素に向けた経済・社会、産業構造変革への今後10年のロードマップについて議論された。その後、昨年末に「GX実現に向けた基本方針」が取りまとめられ、2023年2月に閣議決定された。

GX企業が産・官・学と協働する「GXリーグ」

「GXリーグ」は、GX(グリーントランスフォーメーション)に対して積極的に取り組む企業群が官・学と共に協働し、様々な議論や新たな市場創造のための実践を行う場として構想された。2022年2月に経済産業省が「GXリーグ基本構想」を公表し、2023年4月からの本格稼働に向けて、シンポジウムや検討会が開催されているほか、2023年2月から参画企業の募集も開始された。企業が参画するメリットとして考えられるのは、グリーントランスフォーメーションに積極的であるというブランドイメージ向上のほか、リーグ内での最新情報の入手や投資家・金融機関から資金を調達しやすくなる可能性などが挙げられる。さらに重要な点は、CO2排出削減量をクレジットとして取引が可能となる新しい市場「カーボンクレジット市場」との関係だ。GXリーグへ参画することによって、プロジェクト由来のクレジットに加え、GXリーグ参加企業による削減価値クレジットへの取引も可能となるため、実排出が目標に届かない場合でも、取引所からのクレジット調達により達成をめざせるなど、排出量削減の手段を増やせることにつながる。もっとも、本質的な部分では実際にCO2排出量が減っているわけではないため、この辺りは意見が分かれるところだと思われる。

今後10年間で150兆円超の官民投資が必要と試算

「GX実現に向けた基本方針」によると、今後10年間を見据えたロードマップでは官民合わせて150兆円を超える投資が必要と試算している。また「GX経済移行債」を創設し、20兆円規模の先行投資支援を実行していく。参考資料では22の事例について今後の道行きが記載されており、その中で最も投資金額の見込みが高かったものは自動車産業の約34兆円。内訳は電動乗用車・商用車の普及で約15兆円、次世代自動車の研究開発に約9兆円、蓄電池製造・開発関連投資として約7兆円、電動車関連のインフラ投資と製造工程の脱炭素化でそれぞれ約1兆円、カーボンリサイクル燃料で約0.4兆円となっている。そのほか金額の大きい項目としては、再生可能エネルギーに約20兆円、住宅・建築物に約14兆円、半導体産業やデータセンターのCN化といった脱炭素目的のデジタル投資に約12兆円などとなっている。CO2排出量の多い鉄鋼、化学に関しては、水素還元製鉄の技術導入、電炉への転換投資、グリーンスチールの2030年1000万トン供給、グリーンケミカルへの構造転換に向けた燃料・原料転換の促進など、それぞれ約3兆円の投資を見込んでいる。次世代燃料として有力な水素・アンモニアに関しては、2030年までに国内導入量をともに300万トンをめざし、強靭なサプライチェーンの構築やインフラ整備などで約7兆円を見込んでおり、発電・運輸・産業など幅広い分野での活用が期待されている。

新たな革命がビジネスチャンスとなるのか

化石燃料を中心とした社会・産業の構造をクリーンエネルギー中心に移行させ、経済社会システム全体の変革をめざすGX(グリーントランスフォーメーション)。以前より注目されており、今後ますます取り組みを推進させていく必要のあるテーマだろう。ものづくり補助金の「グリーン枠」、事業再構築補助金の「グリーン成長枠」といった支援制度を活用することも有効な手段となる。日本だけではなく、世界規模で競争が加速する中、脱炭素に向けた新たな技術の開発やこれまでにない需要・市場の開拓、またその創出に向けて実施される巨額の投資は、日本経済を再び成長軌道へ回帰させる大きなビジネスチャンスとなるかもしれない。

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