AI、ビッグデータ、IoTなど進化を続けるテクノロジー
昨今、文章や画像を自動で生成するAIのニュースが巷を賑わしている。ひと昔前では考えられないような技術だが、個人でも簡単に利用できる時代になった。こうした技術の進歩は、日本が提唱している未来社会「Society5.0」を実現する上で欠かせないものとなっている。人工知能(AI)、ビッグデータ、インターネット・オブ・シングス(IoT)、ロボット工学など、さまざまな分野での革新的な開発は私たちの生活や社会のあり方に大きな変革をもたらした。
AIの進化は特に顕著で、人間の知能に近いタスクをこなすことが可能となった。機械学習や深層学習の発展により、AIは大量のデータを解析し、予測や自動化を行う能力を獲得した。例えば、自動運転技術は、AIによる高度なセンシングや判断に基づいており、交通事故を無くし、交通効率が著しく向上する可能性を秘めており、すべての交通網が自動で管理される時代も夢ではなくなった。
ビッグデータは、膨大な量のデータを解析して新たな知見を得ることができる強力なツールだ。人間の力では不可能な大量のデータ解析をコンピューターが行うことで、人間では気づくことができない予測や因果関係を導き出せる。例えば、天気予報や防災気象情報。膨大な気象データをもとに分析され、精度の高い情報が発信されている。他にも、交通データの解析、医療情報システムでの活用、経営分析、インターネット広告など、すでに現代社会において無くてはならない技術となっている。
日本が掲げる未来社会Society5.0とは
2016年1月に閣議決定され、政府が策定した「第5期科学技術基本計画」のなかで提唱されたSociety5.0。『サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)』というように定義されている。分かりやすくいえば、『テクノロジーを活用してオンライン空間と現実世界をつなぎ、さまざまな社会の問題を解決し、人々が暮らしやすい社会』ということだろう。例えば、少子高齢化や地方の過疎化といった課題を解決するイノベーション(ドローンによる荷物の自動配達など)、ロボットによる自動生産、エネルギーの安定的な供給、消費ニーズに合わせた食料管理、完全自動走行による事故の無い社会など、これまでにない新たな価値が産業や社会へもたらされることになる。
「Society5.0」がなぜ「5.0」なのかというと、狩猟社会(Society1.0)、農耕社会(Society2.0)、工業社会(Society3.0)、情報社会(Society4.0)に続く、新たな社会として位置づけられているから。軽工業の機械化に始まり、蒸気機関、電力、石油を用いた内燃機関、コンピューターの普及など、これまで様々な産業革命が起こり、世界は進歩してきた。AI・IoTなどの活用は第4次産業革命だとされており、それによって導かれる社会が「Society5.0」だともいえる。
更なるイノベーションで導く未来
上下左右を立体的に動く完全自動走行の移動手段、凶悪犯罪を未然に防ぐ社会など、まさにSF映画で描かれてきたような世界の実現が目前に迫っている。「人間が想像できることは、人間が必ず実現できる」、これは月世界旅行や海底二万マイルなどの作品で知られる19世紀のSF作家ジュール・ヴェルヌが語ったとされる言葉だ。これまでの歴史を振り返ると、まさにこの言葉通り、人類が想像してきた未来を実現し、さらにその先へと向かっている。途方もない努力と新たな発見、数々のイノベーションがこうした進化を支え続けている。日本が掲げる未来社会Society5.0も決して夢物語ではなく、気づけばそれが当たり前の世界となっているにちがいないだろう。