コラム/海外レポート

2023.08.30

日本とタイの改善活動の違いについて

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執筆者:

久保 憲二

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タイの人々は慎重な人が多く、未だに多くの人がマスクを着用しています。外国人観光客が多いバンコクではマスクを外す人が増えましたが、バンコクから少し離れた他県に行くと7割程度の人が未だマスクを着用しており驚かされます。
さて、前回はコロナ禍でも品質向上に成功した事例をご紹介させていただきましたが、今回は一般的な活動の中での注意点についてご紹介させていただきます。日本でもタイでも実施することは同じなのですが、タイでは+αが必要です。それは国民性や慣習の違いと言うのでしょうか、日本人の常識通りには行かないのです。

下図は私がタイに来て5年ほどして作成したピラミッドです(駐在して既に9年が経ちました)。
 

我々の支援する活動は最終的にはコストや品質をコントロールし、経営に貢献することです。労働生産性の向上や歩留まり向上はコストに直結していますし、不良品の削減や一発良品製造は手直しコストの削減と原料使用量の削減となります。さらに、その先には顧客満足の向上があります。
さて、このピラミッドですが、下から確実に積み上げていく必要があります。基礎が出来ておらずに上位の改善をしてもタイでは元に戻ってしまうことが多いのです。特にその中で重要なのが、人と時間のコントロールです。

(1)日本の常識とタイの常識を融合する
(2)部下の時間のコントロールができるようになる


この二つがきちんと出来るようになるまで活動を継続する必要があります。仏教徒が大多数を占めるタイでは、目上の人を敬うことが当たり前です。年上の部下を厳しく指導することはあまりしたくないのです。人前で争いごとを好まない国民性ですし、人と時間をマネージャーやリーダーがコントロール出来るようになるには根気と時間が必要です。
 
限られた時間で活躍されている駐在員の皆さんは、慣れること、学ぶこと等で、あっという間に月日が過ぎてしまうかもしれません。是非とも我々コンサルタントに相談していただければと思います。

 海外では日本と同じ考え方では成功しない場合も多いですが、必ず成功すると信じ改革、改善を進めていきましょう。私もそのお手伝いを微力ながら続けていきたいと考えています。

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