vol.6 令和3年度予算概算要求から見えてくる、
今後の助成金・補助金制度の動向 ~補助金編~
前回に続いて来年度予算概算要求に関して、今回は主に経済産業省の内容から補助金の動向について考えてみます。来年度の特長としては、グリーン、スタートアップ、連携、地域、人材といったキーワードが浮かび上がってきます。
グリーンについて特に注目は脱炭素化の動きです。近年ESG投資やSDGsの考え方が世界的な広がりを見せる中、菅首相もこの間の所信表明演説で2050年までにCO₂排出ゼロを宣言したことで俄然脚光を浴びています。洋上風力や国産木質バイオマス発電、水素燃料などのクリーンエネルギーへの転換支援が加速するものと思われます。また従来の「エネルギー使用合理化等事業者支援補助金(省エネ補助金)」も細部の変更を加え、一層推進の流れとなるでしょう。
スタートアップはこれまでもイノベーションにおいて課題でしたが、より具体的な手法に踏み込んだ感があります。例えば、AI、素材等の研究開発から新規事業が自律的、連続的に創出される仕組み構築に対して支援する「研究開発型スタートアップ」、地域に眠る高い技術を発掘し、ベンチャーキャピタル等とのマッチングを通して海外展開を支援する「グローバル・スタートアップ・エコシステム強化事業」、技術面や資金面だけでなく経営人材のマッチング・育成を主眼とした「スタートアップ向け経営人材支援事業」が掲げられています。
これらデータや技術の対外連携、マッチングはスタートアップに限りません。看板施策の「ものづくり補助金」についても企業単体での新規事業だけでなく、企業間連携やサプライチェーン構築への支援を強化する動きが垣間見えます。これら連携を重視する姿勢は、「戦略的基盤技術高度化・連携事業(サポイン)」の更なる推進とも結びつくところがあります。なお、サプライチェーンに関して言えば、レジリエンス(逆境からの復元力)の面からも5Gなどを活用した強靭化に対する予算増額配分が為されている点は着目すべきです。
地域経済の競争力強化も推進すべき課題とされています。「地域未来デジタル・人材投資促進事業」が新設され、人材の地域移動も含めた支援を表明しています。地域経済に関する補助金はもちろん国だけでなく、自治体の支援策にも目配せが必要となります。その他特筆すべきは事業承継・世代交代の支援事業の予算要求がほぼ倍増していることです。人材育成と相まって後継者問題がいよいよ待ったなしの喫緊課題であることを如実に示しています。
助成金・補助金に関するご相談は: https://www.tmng.co.jp/keiei_consul/
(次号vol.7は12月2日の予定です)