コンサルティングにより加工工程の現場に大きな変化が。製綱工程への導入につながる東京製綱株式会社・堺工場長の樽見信吾氏は、これまで同社の生産部門で続けられてきた“徒弟制度”のような形の技術継承の在り方に疑問を持っておられました。「誰もが短期間でボトムアップを図ることで、常に利益を出せる工場へと変革を図りたい」その思いが、製綱課内の2つの工程におけるコンサルティング導入のきっかけとなりました。
【背景と課題】
職場改革が自主改善で進まない!セミナー参加で診断を決意
明治以来の伝統を持つ職場には、徒弟制度のような古い体質が残っており、特にプレテンション加工の職場では「一人前になるには5年はかかる」とされていました。しかし、私は作業を標準化して技術継承できる仕組みづくりにより短期育成が可能ではないかと考え、テクノ経営総合研究所にお願いして加工工程の職場改革を進めることにしました。ビデオ撮影や作業マニュアル作成と職場改革の結果、加工工程の生産性は急速に回復。1年間のコンサルティグ経費を差し引いても利益が出るまでになり、社長から全社表彰を受けるまで変化しました。加工工程の改善は一区切りついたのですが、この経験をもとに、もう一つの職場である製綱工程の職場改善を職場メンバーによる自主改善で進めることにしました。ところがこれが予想に反して上手くいきません。反対に作業ミスや品質不良が増える始末で、作業長からは社内メンバーによる自主改善では難しいという意見が出ました。
製綱工程では収益確保のために生産性向上が課題となっており、作業長に以前お世話になったテクノ経営主催のセミナーに参加してもらうことにしました。
その後、作業長から「現場力を高めるには職場の意識改革が必要だ」という講演に強い共感を受けたという感想が返ってきました。そこで「一日工場診断」を申し込むことにしたのです。
【選定と導入】
生産性向上の大きな可能性を指摘されコンサルティング導入
工場診断で指摘を受けたのは社内に潜む改善箇所の多さ。ご担当いただいた伴コンサルタントによれば、現場作業の約60%に改善余地があるとのことでした。
製綱工程の作業では、ワイヤロープを機械にセッティングする作業をいかに安心・安全に速く・ムダなく行うかが重要です。機械が回り出したら人にはすることがない。そこに着眼して段取り改善やムダ排除を行うことで大幅な生産性向上が見込めるとの指摘でした。
生産性は機械稼働率で測れますが、人の場合は1日にどのくらいの仕事をしたかという独自の指標が必要になります。ところが1日の目標が不明確で作業ペースや方法も個人任せになっており、相互応援の体制についても進捗が見えずロスが大きい状態でした。
コンサルタントからは、それまで個人の頑張りに頼っていた現場作業を見直し、技術継承の仕組みづくりや標準化により人と機械の両方の生産性をマックスにできれば生産性が大きく上がるというアドバイス。生産性向上140%以上が可能だという結果でした。
工場診断の結果を受けて、2020年10月からコンサルティングをお願いすることにしました。メンバーの創意で名づけられた活動名は「チャレンジ・チェンジ150」。これは生産性1.5倍に挑戦(チャレンジ)する、そのために一人ひとりが変化(チェンジ)するという意味を含んでいます。個人から組織での仕事へ向けた活動が始まりました。
テクノ経営総合研究所では今後も経営革新セミナー、1日工場診断を通じて、企業変革のきっかけをつくるための活動を推進してまいります。
(公開日:2021年5月27日)
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【工場診断事例】東京製綱株式会社様
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