トンカツをはじめとする多彩な衣付け製品から冷凍惣菜や加工品(ハム・ベーコン類)、さらにはOEM製品開発、自社ブランド展開までを手掛けるサヌキ畜産フーズ株式会社。コロナ禍で感じた危機感から、設備の増強や人材育成への投資など、いつかは明けるコロナに備えて、また日本一のトンカツ工場&100億円企業の実現に向け、しっかりと生産性を上げていける体制づくりが課題でした。
【背景と課題】
コロナ禍で感じた危機感
設備や人材に対する先行投資を決断
もともと祖父が養豚業を営んでおり、その後、養豚だけではなく、加工などの食品製造に着眼点を持ち、事業に進展していきました。豚肉は、まず内臓などを取り除き、半分に切られた枝肉と呼ばれる状態に解体されます。次にレーンに吊し上げて脱骨し、部分肉へと加工していきます。大貫(たいかん)という親豚の脱骨を行うのですが、当社はこの親豚の提供先であった5企業の出資によって協同組合として設立されました。その後、脱骨等の精肉だけではなく、一般のお客様へ向けた商品開発や、当時の世の中にはなかった定型・定量となるローストンカツの前処理工程を行うなど、徐々に事業を発展していきました。そうした中、本来の協同組合としての生業という形からは離れてしまっていたため、2010年に株式会社化を行いました。
コロナ禍では、非常に仕事が減り、1日中ラインを止めるといった状況も発生していました。ちょうど、今の工場長である岡田が工務課から抜擢され、製造畑ではないところからの工場長が二代続く形となり、また他のメンバーも人事異動で新しい役職として頑張っていただく中、ミドルのボトムアップといった人材育成、また設備の増強も行い、いつかは明けるコロナに向けて、あえて投資をするというか、準備をしておくべきだと考えていました。
そうした中、「減産時における戦い方」というオンラインセミナーの案内をいただき、コロナ禍においてはまさにというタイトルでしたので視聴させていただき、1日工場診断をお願いしました。
【選定と導入】
労働生産性は133%まで向上
着実な成長を実感
従業員の成長や工場の改革という部分への期待はもちろんありましたし、1日工場診断をふまえて、しっかりと提案を作り上げてきてくれた印象はありました。弊社の改善に取り組みたいという強い熱意というのを感じたことも覚えています。セミナーの動画を視聴して、自分の思いだけで導入しても意味がなく、現場から声が上がってのことでしたので、大いに成果には期待して導入を決めました。
1日工場診断では、作業者がまな板で包丁を持って行う検品作業や、肉からナイロンを除去して供給する作業など、そういったそれぞれの箇所での人員バランスの悪さや作業効率のロス、あとは移動距離や材料の載せ替えといった運搬・歩行のロスなど、自分たちでは思いつかないような内容をたくさん指摘いただきました。特に加工肉の前処理工程では、手を動かし、肉を成形する作業は価値を生む作業となりますが、そこの速度が人によって異なっており、速度の速い人のやり方に合わせれば、もっと価値を生み出せるはずとのことでした。報告書では、「自身で気づいた範囲での改善に終始し、高い目標へ挑戦して必達する文化を構築できていない」という、厳しいお言葉をいただきましたが、試算上では157%の生産性の向上が期待でき、価値を生み出す作業にもまだまだ改善余地があることから、200%近い向上までをめざせると提案いただき、視野が広がるのも感じました。
毎月2回指導に来ていただき、粛々と活動を進めていただきながらも、しっかりと成果を上げてもらっています。労働生産性では133%の向上となっており、ここから下がることはほとんどなく、推移できているのが現状です。分析データを見ると、最初は振れ幅が大きかったのですが、現在では安定していますので、高いパフォーマンスを継続して出せていると感じています。それと同時に、やはりコロナが明けて受注が戻ってきたのは大きいですね。営業関係の頑張りはもちろん、作り上げた製品の良さを認めていただけている証拠にもなっているかなと。そうした状況で、このMIB活動を通じて生産性が向上し、設備投資も相まって、この3つが相乗効果を発揮しているのを実感しています。当然、数字にも現れてきていますし、従業員に対する分配や一時金の支給でも大いに役立っていると思います。
2021年になっても生産量は本当に少なく、一番低い時は現在の1/3くらいの製造量でした。そういった中で始まったこのMIB活動を通じて、日本一のトンカツ工場、そして売上100億円の達成をめざし、今後も取り組んでいきたいと思います。
テクノ経営総合研究所では今後も経営革新セミナー、1日工場診断を通じて、企業変革のきっかけをつくるための活動を推進してまいります。
(公開日:2024年9月13日)
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【工場診断事例】サヌキ畜産フーズ様
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