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信和株式会社様

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アフターコロナの工場運営を見据えて
人材育成の取組みを加速

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くさび緊結式足場を核に  仮設資材のリーディングカンパニーへと成長

佐藤氏: 当社は1977年にジャッキベースと呼ばれる足場の一部品だけを製造する仮設資材メーカーとしてスタートしました。その後1988年に現在当社のコア製品であるくさび緊結式足場「シンワキャッチャー」を開発、足場一式を製造・販売できるメーカーとなりました。 「シンワキャッチャー」は多くのお客様からご支持いただき、当社が大きく成長するきっかけとなりました。2003年にはそれまで培ってきた金属加工のノウハウを活用して、物流機器部門を立ち上げました。直近では、物流機器部門は売上全体の15%を占めるなど、第2の柱として収益に貢献しています。
 その後2016年には高層・大規模建設現場向けの次世代足場「サイレント・パワー・システム(SPS)」の製造・販売を開始しました。従来の「シンワキャッチャー」が中低層の建築現場向け足場であったのに対し、高層・大規模建築現場向けの足場「SPS」が加わったことで、当社製品がカバーできる建築現場が一気に拡大、信和の足場で対応できない現場は無いとも言えるラインナップを揃えることができました。
 そして2018年には東京、名古屋の証券取引所2部に株式上場を果たし、翌年にはそれぞれ1部上場へとステップアップしました。さらに上場以降も歩みを止めることなく、2019年には中国に合弁会社「広東日信創富建築新材料有限公司」を設立しました。これは国内市場の成長が緩やかになる中、今後重要となるグローバル展開を視野に入れたものです。中国では建築現場での事故が社会問題化していることから、当社製品の提供を通じて、中国の建築現場に新しい安全価値を生み出していこうと考えています。

中村氏: 生産につきましては、国内では土倉工場と工場近隣の多くの協力会社、海外では3社の協力工場にて生産をしております。当社の主要製品は(一社)仮設工業会からの認定を受けた工場でなければ生産を行うことができないため、協力工場も当社のOEM工場として認定を取得して頂いています。
 なお、出荷や開発など、製造と関連する機能・部門は本社にありますが、土倉工場とは距離的にも近く、担当者も何かあればすぐに動けるなど、連携しやすい環境となっています。

コロナ禍~アフターコロナを見据えた工場運営

中村氏: コロナ蔓延下の工場運営としては、4月の非常事態宣言以降、6月まではかなり生産量を抑制したため、社員には勤務時間を変えながら変則で勤務してもらい、多い時期には半月ほどの自宅待機も行いました。
 現在の業況としては、3月と4月は完全に止まっていた建築現場では、夏ごろからは規制も無くなり動き出し始めていると聞いており、これからは徐々に需要が戻ってくれることを期待しています。  
 今後の工場運営については、コロナ以前の生産体制には戻らない可能性を含め、生産の工程管理に、より重点をおく必要があると考えています。具体的な取組みとしては、より少ない人員で生産を行うための多能工化を推進しており、既にこの10月から4つの部署によるジョブローテーションを実施しています。この構想は以前から持っていたのですが、コロナ禍に見舞われたことにより、実施スピードを早めることになりました。
 

社員の気付きを重視した改善活動の取組み

中村氏: 導入のお話を頂いた当時、自社である程度の改善活動を行っていたことや、外部のQCサークル活動などへの参加、社内の改善活動に関する発表会など、改善については経営陣からも評価をいただいていました。 
 そのためテクノ経営さんのコンサルティング導入を経営企画部門から紹介されたとき、私個人としては導入の必要はないと考えていましたが、外部からの視点による自社評価は新たな気づきにつながる可能性もあると思い、まずは「無料工場診断」を受けることにしました。今までの改善活動を考えれば平均点はあるだろうと思っていましたが、診断の結果をいただくと、自分が考えているよりはるかに低い評価をつけられており「そんなはずはない」と納得することができませんでした。
 しかし、改めて深く現状を分析してみると、当時の生産部門は社員の気づきを一層活性化していくことをテーマとしていましたが、伸び悩んでいることに気付くことができました。
 その後、社長より外部のコンサルタントの力を借りることで、新たな手法や考えを得ることができるのであれば、今より改善活動がもっと活発になるのではないかという意見をいただいたため、期間を限った上でコンサルティングを依頼することにしました。
 コンサルティングの内容は、活動スタートから4ヶ月ぐらいは基本に立ち返り、気づきの考え方などを基礎から改めて学ぶことで正しく理解しなおすことができ、いままでの改善で抜けていた部分を見つめ直すことができました。その後は4チームに分け、それぞれが重点項目を決め、改善手法やアプローチの仕方などを自身で体験しながら学ぶことで改善力を養うことができたと感じております。感度が上がった状態で具体的な改善活動に取組むというコンサルタントの段階的な進め方は大変効果的であったものと感謝しています。
 1年間の活動の成果としては、改善力が向上したことで改善の幅が広がり挑戦できることが増えることにより、気づきや改善活動が活性化されたと感じております。
 その他の副産物としましては、これまで発言が少なかった一般社員の発言が増えるなどの風通しの良い現場環境になったことや、目標に向けて全員が一つのことに取組み達成感を共有できたことによる連帯感が得られたのではないかと感じています。 
 また、コロナによってコンサルタントとの改善活動は一時中断を余儀なくされましたが、その期間を活動リーダー達が主体となり進めてくれていたため、コンサルタントによる活動が再開した時にはすぐに取組みをスタートさせることが出来ました。 
 活動リーダー達の主体性が高まったことも大きな収穫と感じております。
 

アフターコロナにおける成長戦略

平野氏: 当社における長期の成長戦略については、昨年まで考えていた構想は成り立たなくなっています。まず、見通しを立てるにも極めて不透明感が強いこと、また、完全に元の状態に戻ると仮定しても、相応の時間がかかると思われるからです。そのような状況における生産部門のあり方としては、業務プロセスの改善を通じて一層の効率化に取組む必要があると考えています。他社の良い事例を信和流にアレンジした「ムダ取り」の教育および実践や、営業の海外展開と連携を図りつつ、目線を国内外に広げたサプライチェーンの再検討なども必要と考えています。
 さらに、人材育成も極めて重要なポイントだと考えており、「多能工化」に加え、特にデジタル人材の育成は、今後当社が持続的な成長を実現する上で重要な意味を持つため、この取組みは喫緊の課題であると認識しています。

くさび緊結式足場「シンワキャッチャー」

取材にご協力いただいた方

常務取締役 製造本部長(執行役員)     平野 真一氏
執行役員 製造本部副本部長 兼 製造部長   中村 芳弘氏
管理本部経営企画部
経営企画課 課長 兼 監査等委員会室     佐藤 岳史氏



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