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森永エンゼルデザート株式会社 デザート事業部様

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少人化・活人化による生産性向上と人材育成

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 本ページでは、森永エンゼルデザート株式会社 デザート事業部様に対するコンサルティング実績をご紹介しています。
アイスクリームやケーキなどの生産を通して、お子様からお年寄りまで多くの方々に、「おいしさ、たのしさ、すこやかさ」を 提供する森永エンゼルデザート株式会社では、お客様に価値と感動を与える製品作りを目指し、常に優れた品質と安全・安心を最優先に 考えた生産活動に取り組んでいる。
基本方針は「お客様に満足していただける安全で安心な高品質の製品を提供すること」を掲げている。清潔な工場と最新の設備、長年 培った技術力を駆使し、徹底した品質管理でお客様に信頼される製品づくりが同社の信条だ。
おいしさと共に、社会の流れをキャッチアップした商品開発、皆様に満足していただける最高の品質を追求し続けている。森永製菓 グループの生産会社として、冷菓事業部では、森永製菓ブランドの各種アイスクリーム製品、デザート事業部では冷凍ケーキやベーカリーや パイなどの業務用製品の生産を手掛ける。今回は職人的な手作業の要素が強いデザート事業部における改善活動の取り組みを紹介する。
(※ASAP 2014年 No.6より抜粋)

左:常務取締役 渡邉 範人氏
右:デザート事業部 製造部
ライン長 大谷 正和氏

少人化・活人化で進める製造ラインの生産性向上

活動開始から1年半が経ちましたが、VPMをご導入いただいた経緯をお話ください。

渡邉: 当社は冷菓事業部とデザート事業部の2事業部制で森永製菓グループの生産会社として、 森永製菓ブランドの各種製品を製造しております。冷菓事業部では“チョコモナカジャンボ”“チーズスティック”“パリパリバー”などの各種 アイスクリーム製品を製造しており、我々のデザート事業部では冷凍ケーキおよびベーカリーやパイなどの製造を行っています。
製品の大半は業務用でホテル・レストランや喫茶店などが主なお客様になります。ただ、一口に冷凍ケーキといっても、その製品は顧客先の要望に より千差万別です。そして近年の消費者の多様なニーズに応えるため開発品目がますます増える傾向にあります。そのため同じ製品を連続して造る ことは少なく、多品種少量生産が基本となっています。
ケーキという極めてデリケートな性質を持った製品のため、工程のなかで機械化できる部分が少なく手作業の割合が多いのも当工場の特色です。 手作業は熟練度にも関係しますが、個人差による作業ロスが発生しやすい部分です。一方、作業効率を調べてみると作業における手待ちの割合が 極めて高いことがわかりました。また社内には生産工程の改善を指導できる社員も少なく、現場力を高めて生産性を向上させる必要性を常々感じて いました。
生産性向上の取り組みについては、すでに森永製菓の各工場そして当冷菓事業部をはじめとしたグループ各社でテクノ経営のVPM活動で成果を 上げていましたので、当事業部でも導入に踏み切りました。
ただ、グループ会社の事例から期待される導入効果は推測できたのですが、人材不足が否めなかったため、これで本当に活動を推進できるの だろうかという一抹の不安がありました。そのため実際に活動を取り組むにあたっては、コンサルタントに相談させて戴きました。

コンサルティング導入に際して、社内体制の不安をお聴きすることがよくあります。 しかし活動を通じて人材育成が計れるので問題はありません。今回の活動に貴社ではどのように取り組まれたのでしょうか。

渡邉: 今回は製造ラインの改善を主なテーマとして取り組んできました。我々デザート事業部には 3部門の製造ラインがありますが、この各ラインでチーム編成を行い、3チームでの活動を開始しました。活動は第一期が2013年4月から2014年 3月、これを我々は「MIT-B30」という名称で展開しました。そして二期目の2014年4月から2015年3月までは「MITⅡ」として現在も 推進中です。
活動はVPMの基本である「少人化・活人化」を中心に進めています。これは少ない人数で生産性の高い業務を進め、生まれた余力を全社的な課題解決に 振り向けるという考え方です。そして具体的な目標として「高品質高収益体質の確立」、「少人化・活人化による生産性向上」、「高いマイン育成」に 取り組んでいます。
第一期の取り組みとしては、少人化9名という目標に対して12名達成できたことは大変大きな成果だと思います。また二期目も上期3名という目標に対し、現在すでに4名の少人化が実現しています。

定量的な目標である少人化に対して、定性的な成果としてはどうでしょうか。

渡邉: 「製造ラインのどこを改善したら生産性が上がるか」を考えながら活動が進められるように なったことです。先ほどもお話したように、当初は自発的な取組みが生まれるだろうかと危惧していたのですが、その辺の活動に対する取組み方が徐々に 身についてきたと感じています。今までは職場の問題を抽象的に漠然ととらえていましたが、活動を通じて数値化してとらえる力が付きました。 また、それを裏付けるデータを計測するなど主体的に取り組んでくれていると思います。

まず現状を把握してから改善を進める。問題認識のレベルが飛躍的に高まったのではないでしょうか。意識の変化という点はいかがですか。

大谷: 活動当初、現場の方から「その作業は過去にも改善を進めてきたところなのでこれ以上はできない」という消極的な発言が見られたのも事実です。 しかし、ビデオ撮影による客観的分析やサイクルタイムを動かす手法などをコンサルタントから学ぶことにより、時間管理の重要性が身に付いてきたと感じています。

確かな品質管理/安心・安全をお客様へ

新しい経験にチャレンジし、成長する

ほかに改善活動における苦労話やトピックス等がありましたらお話ください。

渡邉: 冒頭で当社人材に関しての不安を申し上げましたが、やはり活動するにあたっての 問題が出てきました。それは現場ではパソコンを使うのが苦手な人が多かったことです。そこで事前の対策として社内でパソコン勉強会を 開催しました。「まず苦手なパコソンの問題を克服しよう!」、当事業部の活動はそこからスタートしたわけです。

大谷: 実際に昨年の4月から活動を始めましたが、最初は後ろ向きの気持ちが強い中、資料作りが遅れて思うように進まないといった場面が多々ありました。しかし、これを苦労してこなしていくうちに少しずつ意識も良い方向に 変わってきて、こちらから言わなくとも積極的に課題に取り組む姿勢が見られるようになりました。そして少人化を推進する中で、生産性向上や ロス削減などに関する意識もだんだん高まってきたと実感しています。
活動は現場チームを主体に進めていくのですが、チームの力だけではなく、そこに関わる従業員の方のすべての力を借りて行っていく必要が あります。その中でも先ほどお話にあったように、当工場では機械化されない手作業におけるロス認識が曖昧になっていました。実際に手作業の 工程では「手待ち」が多く見受けられるのですが、従業員には「手待ち」に対するムダ意識がなく、そこを彼らに認識してもらうことが苦労した ところです。

渡邉: サイクルが完結するたび実施した発表会は良い経験をもたらしたと思います。一つは 発表に向けた準備です。資料作りは大変だったでしょうがその経験は今後に役立つと思っています。もう一つは発表そのものです。殆どの人は 今まで自分たちの意見を人前で話す機会もありませんでしたから、大勢の前での発表にとても緊張していました。これも良い経験になったのでは ないでしょうか。どの発表会もすばらしいものでした。

渡邉: 苦労話という点では、現場の抵抗でした。現場の皆さんは自分の仕事に自信と誇りを 持っており、活動当初はチームが提案した作業改善に対して抵抗があり、事務局やチームメンバーは推進に相当苦労したようです。

大谷: やはり理解していただくまではしばらく時間がかかりました。最初の半年くらいは 抵抗がありましたが、後半からは活動に協力していただけるようになりました。

活動の満足度という点ではどうでしょうか。

渡邉: 活動成果には満足しているのですが、それだけではありません。問題解決に取組む 手段が身についてきたこと、どのような事象をとらえ改善できるか、現在の課題はこれだと考える力がついてきたことに非常に満足しています。
なぜ、なぜ、なぜと追究する原因分析を学び、今後の改善に活かせるようになったことがよかったと思っています。

今後の活動に向けての取り組み方や心がけていきたいことがあればお話しください。

渡邉: 当社は森永製菓のグループの一員として、「おいしく、たのしく、すこやかに」という ビジョンを掲げています。やはり大切なのはお客様に価値と感動を提供するものづくりです。そのなかで品質・安全・安心は当然として、価格競争 にも打ち勝っていくための生産性向上活動を、さらに進化させたいと思っております。

本日はありがとうございました。


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